ギアナ宇宙センターから飛び立つ「アリアン5」ロケット(Credit: ESA/CNES/Arianespace)

【▲ギアナ宇宙センターから飛び立つ「アリアン5」ロケット(Credit: ESA/CNES/Arianespace)】

この一報をお伝えすることができて本当に嬉しく思います。日本時間2021年12月25日夜、宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」がクールー(フランス領ギアナ)のギアナ宇宙センターから打ち上げられました。期待の新型宇宙望遠鏡を搭載した欧州の「アリアン5」ロケットは順調に飛行。発射台を飛び立ってから約27分後にウェッブ宇宙望遠鏡は分離され、打ち上げは成功しました。

当初の計画からは14年遅れ、2021年に入ってからも技術的な問題や悪天候などの理由で何度か延期されたウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは、偶然にもクリスマスに重なりました。ウェッブ宇宙望遠鏡を搭載したアリアン5は直近の予定通り日本時間12月25日21時20分に発射台から離床し、熱帯の曇り空へと消えていきました。

アリアン5から切り離されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA TV)

【▲アリアン5から切り離されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA TV)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)のライブ配信では打ち上げ管制室の様子やアリアン5の上段に搭載されたカメラからの映像も流されました。ウェッブ宇宙望遠鏡切り離しの瞬間には管制室で歓声と拍手が沸き起こり、管制官の一人が「Go Webb, go!」と声を発していたのが印象的でした。

NASAによると、ウェッブ宇宙望遠鏡は離床から約30分後に太陽電池アレイを展開。その様子はアリアン5上段のカメラにも捉えられていました。地上との通信も確立されていて、6基搭載されている姿勢制御用のリアクションホイール(回転することで宇宙機の姿勢を安定させたり、回転速度を調整して姿勢を変更したりするための装置)の電源も入れられています。

太陽光を反射して眩しく輝くウェッブ宇宙望遠鏡。展開された太陽電池アレイが写っている(Credit: NASA TV)

【▲太陽光を反射して眩しく輝くウェッブ宇宙望遠鏡。展開された太陽電池アレイが写っている(Credit: NASA TV)】

このように打ち上げは無事成功しましたが、観測開始までのウェッブ宇宙望遠鏡の旅路はここからが本番です。ウェッブ宇宙望遠鏡は地球と太陽の重力や天体にかかる遠心力が均衡するラグランジュ点のひとつ「L2」(地球からの距離は約150万km)まで移動して観測を行います。L2への移動に要する期間は約1か月間、機器の冷却や較正を終えて観測を開始するのは打ち上げから約6か月後とされています。

L2で観測を行う宇宙望遠鏡はジェイムズ・ウェッブが初めてというわけではなく、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」などの前例がありますが、ウェッブ宇宙望遠鏡はL2に向かう途中で主鏡やサンシールドなど機体の各部をひとつひとつ順番に展開しなければなりません。六角形の鏡18枚で構成される直径6.5mの主鏡や、展開するとテニスコートほどの広さになるサンシールドをアリアン5の直径5mのフェアリングに収めるために、これらを折り畳んだ状態で打ち上げたのがその理由です。

▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから主鏡の展開完了までを示した動画▲
(Credit: ESA/ATG medialab)

こちらはESAが公開しているウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから観測開始までの様子を示した動画です。アリアン5から切り離されたウェッブ宇宙望遠鏡が、どのような順番で各部を展開していくのかがわかります。NASAによると、来週にはサンシールドが展開される予定とのこと。世界中の研究者からの期待を背負うジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、主鏡の展開まで無事に完了することを願うばかりです。

 

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Image Credit: ESA, NASA TV
Source: ESA / NASA
文/松村武宏