航空宇宙事業をテーマにしたフォーラム「第7回中国商用航空宇宙フォーラム(CCAF: China Commercial Aerospace Forum)」が、中国・武漢で11月24日から26日にかけて開催されました。同フォーラムでは中国の国営企業や国内外の民間企業から、衛星コンステレーション計画やロケットの打ち上げ、宇宙旅行についてなどの計画が発表されました。

■中国民間初の液体燃料ロケットが2022年に登場

商用航空宇宙の領域における中国初のフォーラムであるCCAFは、2015年から隔年で開催されています。武漢で開催された今回の第7回大会ではオンラインでのプレゼンテーションも多数含まれており、宇宙開発ベンチャー企業などが近い将来行う計画を発表しています。

中国航天科工集団公司(CASIC: China Aerospace Science and Industry Corp.)は、IoT用のナローバンド(NB-IoT)通信衛星「行雲」2号(Xingyun-2)の打ち上げを計画しており、2022年には少なくとも12基の「行雲」2号衛星が打ち上げられる予定です。打ち上げにはCASICの子会社「Expace」が運用する小型固体燃料ロケット「快舟」1号Aが用いられます。

CASICによると、今後3ヶ月で「快舟」1号Aが7回打ち上げられる計画のようです。また、同社が主導した武漢国家航空宇宙産業基地(約68平方km)は2月に完全運用を開始しており、年間20基の固体燃料ロケットの打ち上げと240基の小型衛星の製造が可能だとされています。

■新興企業も続々と宇宙開発に参入

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【▲Deep Blue Aerospace社が10月に実施したロケットの打ち上げ実験の様子。この時は高度100mに到達した。(Credit: Deep Blue Aerospace)】

今回のフォーラムでは、多くの新興宇宙開発企業がプレゼンテーションを行っています。ベンチャー企業のDeep Blue Aerospace社は再利用可能な打ち上げロケットを開発。同ロケットは推進剤に液体酸素(酸化剤)とケロシン(燃料)を用いており、10月には高度100mにまで打ち上げる実験に成功しています。

また、2019年に固体燃料ロケット「Hyperbora-1」を打ち上げたことで初めてロケットの打ち上げに成功した中国の民間企業となったiSpace社(※)も、構想段階ではあるものの、新型宇宙船の打ち上げ計画を発表しました。

※…北京を拠点とする中国の航空宇宙ベンチャー企業。日本の宇宙開発ベンチャー「ispace」とは異なる

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【▲iSpace社が計画している宇宙旅行(弾丸飛行)用のロケットのひとつ「Hyperbora-3」(左)と宇宙船(Credit: iSpace)】

宇宙船の打ち上げには推進剤にメタンと液体酸素を使う「Hyperbora-2」ロケットなどを使うことが検討されていて、弾道飛行ないし軌道上で宇宙旅行を提供するといいます。ただし、iSpaceが2022年に打ち上げ予定の中型ロケット「Hyperbora-2」は、今のところ飛行テストさえ実施されていない状況です。

この他にも、中国科学院(CAS)からスピンオフしたCAS Space社が固体燃料を推進剤としたロケットを使った宇宙旅行を計画しています。

■宇宙開発で地域経済活性化を目指す中国

中国政府は民間企業が宇宙開発に参入するのを後押ししており、2014年には民間企業も宇宙開発に携わることができるようになりました。国やベンチャーキャピタルによる投資を織り交ぜ、衛星インターネット事業を支援しています。

中国では現在、数百もの宇宙開発企業が乱立し、人工衛星の製造や運用から地上施設やサプライチェーンに至る幅広い分野が宇宙開発に関わっています。また、地方政府も地方経済を活性化させるために、ハイテク宇宙開発企業を推進。今回フォーラムが開催された武漢も、企業が宇宙開発産業に参入することを奨励する地方都市のひとつだといいます。

奇しくもフォーラムが開催された武漢から広まったとされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、世界中でサプライチェーンが停滞。中国の宇宙開発を進めるうえで障害となるボトルネックが明らかになりました。中国はボトルネック解消のための新しいインフラの建設を重視し、液体メタンを推進剤に採用したロケットの打ち上げを可能にする施設を「酒泉衛星発射センター」に建設予定だそうです。

 

Image Credit: iSpace
Source: SpaceNews, CCAF, iSpace
文/Misato Kadono