ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡打ち上げの様子を描いた想像図(Credit: ESA – D. Ducros)

【▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡打ち上げの様子を描いた想像図(Credit: ESA – D. Ducros)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間11月24日、打ち上げ準備中にトラブルが発生した新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」について、宇宙望遠鏡に損傷はなかったと判断されたことを明らかにしました。準備が再開されたウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは、日本時間2021年12月22日21時20分が予定されています。

既報の通り、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はギアナ宇宙センターがあるフランス領ギアナのクールーで打ち上げに向けた準備が進められていましたが、打ち上げに使われる欧州のロケット「アリアン5」の上段(第2段)へ搭載するためのアダプターと結合する準備が行われた際に、アダプターの固定機構が予期せず突然解放され、宇宙望遠鏡全体を揺さぶる振動が発生しました。

事態を受けて招集されたNASA主導の審査委員会によって、ウェッブ宇宙望遠鏡が振動によるダメージを受けていないかどうかを確実に判断するべく追加試験が実施されることになり、この時点で2021年12月18日に予定されていた打ち上げは12月22日へと延期されていました。

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NASAによると、技術者による追加試験の結果、審査委員会はウェッブ宇宙望遠鏡の構成部品がこの出来事による損傷を受けなかったと結論。NASAはウェッブ宇宙望遠鏡への推進剤の充填開始を承認しました。充填作業は現地時間11月25日から約10日間が予定されています。

宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)

【▲宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)】

NASA/欧州宇宙機関(ESA)/カナダ宇宙庁(CSA)の新型宇宙望遠鏡であるジェイムズ・ウェッブは、六角形の鏡を18枚組み合わせた直径6.5mの主鏡を持ち、赤外線の波長で天体を観測する宇宙望遠鏡です。宇宙最初の世代の星(初期星、ファーストスター)や最初の世代の銀河、太陽系内の惑星・衛星や太陽系外惑星などの観測を通して、宇宙の未解決の謎を解く鍵を得ることがウェッブ宇宙望遠鏡には期待されています。

ESAが「これほど待ち望まれている宇宙科学ミッションはそうありません」と表現するように、数多くの研究者から観測開始が待ち望まれているウェッブ宇宙望遠鏡は、2007年打ち上げという当初の計画から様々な理由で延期が繰り返されてきました。打ち上げ予定日まで残すところ3週間半、無事に打ち上げられることを願うばかりです。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げに使われるアリアン5ロケットの組立作業の様子(Credit: ESA/CNES/Arianespace)

【▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げに使われるアリアン5ロケットの組立作業の様子(Credit: ESA/CNES/Arianespace)】

 

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Image Credit: ESA – D. Ducros
Source: NASA / アリアンスペース
文/松村武宏