宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)

【▲宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、アリアンスペースは現地時間11月22日、今年12月18日に打ち上げが予定されていたNASA/ESA/カナダ宇宙庁(CSA)の新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」について、打ち上げ予定日が12月22日まで数日延期されたことを明らかにしました。

ジェイムズ・ウェッブは六角形の鏡を18枚組み合わせた直径6.5mの主鏡を持ち、赤外線の波長で天体を観測する宇宙望遠鏡です。宇宙最初の世代の星(初期星、ファーストスター)や最初の世代の銀河、太陽系内の惑星・衛星や太陽系外惑星などの観測を通して、宇宙の未解決の謎を解く鍵を得ることがウェッブ宇宙望遠鏡には期待されています。

機体の製造はアメリカのノースロップ・グラマンが担当し、打ち上げにはアリアンスペースが運用する欧州の「アリアン5」ロケットが使われます。ウェッブ宇宙望遠鏡は現地時間10月12日、アリアン5の打ち上げが行われているギアナ宇宙センターがあるフランス領ギアナのクールーに到着していました。

関連:打ち上げ2か月前の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」仏領ギアナに到着

発表によると、アリアン5の上段(第2段)へ搭載するためのアダプターとウェッブ宇宙望遠鏡を結合する準備がクールーの施設においてアリアンスペースの全面責任下で行われた際に、アダプターの固定機構が予期せず突然解放され、ウェッブ宇宙望遠鏡全体を揺さぶる振動が発生したといいます。

事態を受けてNASA主導の審査委員会が直ちに招集されており、ウェッブ宇宙望遠鏡が振動によるダメージを受けていないかどうかを確実に判断するための調査と追加試験を行うために、打ち上げ予定日が先送りされました。

▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから主鏡の展開完了までを再現した動画▲
(Credit: ESA/ATG medialab)

こちらはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから主鏡の展開が完了するまでの様子を再現した動画です。打ち上げに使われるアリアン5の直径5mのフェアリング(搭載された人工衛星や探査機などを保護するロケット先端の部品)に収めるべく、ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡や巨大なサンシールド(日除け)などは、打ち上げ後に宇宙空間で展開する仕組みになっています。

宇宙機は打ち上げ時の振動を考慮して設計や試験が行われていますが、今回発生した振動は予定外のものであり、ウェッブ宇宙望遠鏡では複雑な構造が採用されていることもあって影響が気がかりです。NASAは今週末の追加試験終了後に改めて発表を行うとしており、最新情報が明らかになり次第お伝えする予定です。

 

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Image Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator
Source: NASA / ESA / アリアンスペース
文/松村武宏

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