NASAの探査機「DART」のフェアリング結合作業の様子(Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)

【▲NASAの探査機「DART」のフェアリング結合作業の様子(Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)】

日本時間11月24日には、アメリカとロシアで無人探査機国際宇宙ステーション(ISS)新モジュール相次いで打ち上げられる予定です。こちらはそのうちの1つ、アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機「DART」の打ち上げ準備作業の様子を捉えた写真です。

2つに分割された白いカプセルのようなものは、打ち上げに使われるスペースXの「ファルコン9」ロケットのフェアリング(搭載された人工衛星や探査機などを保護するロケット先端の部品)。その間に挟まれるようにしてアダプターに搭載されているのが、DARTの探査機本体です。

飛行中のDART探査機を描いた想像図(Credit: NASA/Johns Hopkins APL)

【▲飛行中のDART探査機を描いた想像図(Credit: NASA/Johns Hopkins APL)】

DARTとは「Double Asteroid Redirection Test」(二重小惑星方向転換試験)の略で、小惑星「ディディモス」((65803) Didymos、直径780m)の衛星「ディモルフォス」(Dimorphos、直径160m)に探査機を衝突させて小惑星の軌道変更を試みるミッションです。

地球に接近する軌道を描く小惑星は「地球接近天体」(NEO:Near Earth Object)と呼ばれています。そのなかでも特に衝突の危険性が高いものは「潜在的に危険な小惑星」(PHA:Potentially Hazardous Asteroid)に分類されており、将来の衝突リスクを評価するために追跡観測が行われています。

DARTのミッションを解説したイラスト。探査機(Spacecraft)が衝突することで、ディディモス(Didymos)を周回するディモルフォス(Dimorphos)の軌道が変化する(白→青)と予想されている(Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben)

【▲DARTのミッションを解説したイラスト。探査機(Spacecraft)が衝突することで、ディディモス(Didymos)を周回するディモルフォス(Dimorphos)の軌道が変化する(白→青)と予想されている(Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben)】

将来、ある小惑星が地球に衝突する確率が高いと判断されたとしても、事前に衝突体(インパクター)をぶつけて小惑星の軌道を変える「キネティックインパクト」(kinetic impact)と呼ばれる手法を用いることで、甚大な被害をもたらす衝突を回避できるかもしれません。

2013年2月にロシア上空で爆発して1000名以上を負傷させた小惑星のように、地球への天体衝突は現実の脅威です。天体衝突の脅威から人類を守る手法の確立につなげるために、DARTはキネティックインパクトを初めて実証するミッションとして実施されます。

DART探査機を搭載したファルコン9の打ち上げは、日本時間2021年11月24日15時21分が予定されています。DARTミッションについて、詳しくは以下の関連記事もご覧下さい。

関連:小惑星に体当りする探査機「DART」打ち上げ準備進む

バイコヌール宇宙基地の発射台に設置された「ソユーズ2.1b」ロケット(Credit: Pavel Kassin/Roscosmos)

【▲バイコヌール宇宙基地の発射台に設置された「ソユーズ2.1b」ロケット(Credit: Pavel Kassin/Roscosmos)】

いっぽう、こちらはカザフスタンのバイコヌール宇宙基地で発射台に設置された「ソユーズ2.1b」ロケットを捉えた写真です。ロケット先端のフェアリングには、国際宇宙ステーションのロシア区画へ新たに結合されるノードモジュール「プリチャル」(英:Prichal、露:Причал、バース(停泊場所)の意味)が収められています。

プリチャルは合計6か所にドッキング機構を持つ比較的小さな球形のモジュールで、2021年7月にISSへドッキングしたロシア区画の多目的実験モジュール「ナウカ」の下部(天底側)に結合されます。

11月24日に打ち上げ予定のノードモジュール「プリチャル」(Credit: Roscosmos)

【▲11月24日に打ち上げ予定のノードモジュール「プリチャル」(Credit: Roscosmos)】

プリチャルは自力で飛行する能力を持たないため、国際宇宙ステーションへの輸送とドッキングには特別仕様の無人補給船「プログレスM-UM」が用いられます。プログレスM-UMは通常のプログレス補給船から貨物の収容スペースを取り除いたような姿をしていて、貨物のかわりにプリチャルが搭載されています。

プログレスM-UMはドッキング後にプリチャルから切り離され、大気圏に再突入して廃棄されます。過去には小型研究モジュール2「ポイスク(Poisk)」やドッキング室「ピアース(Pirs)」の打ち上げとドッキングにも、同じような特別仕様の補給船が用いられたことがありました。

打ち上げ準備作業中のプログレスM-UM(左上)。先端に白い球形のプリチャルが搭載されている。その右に写っている2つの機体は通常仕様のプログレス補給船(Credit: RKK Energia/Roscosmos)

【▲打ち上げ準備作業中のプログレスM-UM(左上)。先端に白い球形のプリチャルが搭載されている。その右に写っている2つの機体は通常仕様のプログレス補給船(Credit: RKK Energia/Roscosmos)】

プリチャルの6か所に設けられたドッキング機構のうち、1つはナウカとのドッキングに使用されるもので、残る5つは有人宇宙船「ソユーズ」、無人補給船「プログレス」、新たなモジュールなどのドッキングに対応します。プリチャルを運ぶプログレスM-UMを搭載したソユーズ2.1bの打ち上げは、日本時間2021年11月24日22時6分の予定です。

 

関連:ISSの新モジュール「プリチャル」11月の打ち上げに向けて準備が進む

Image Credit: NASA, Roscosmos
Source: NASA / Roscosmos
文/松村武宏

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