ロシアは11月15日、ミサイルを使用した衛星破壊実験(DA-ASAT: direct-ascent anti satellite)を実施しました。その結果、追尾できるだけで1500以上の破片を宇宙空間に生み出したということです。発生した破片は数年もしくは数十年、地球を周回し続けると考えられています。

発生したスペースデブリ は地球を数年から数十年漂い続ける(Credit: アストロスケール)

【▲発生したスペースデブリ は地球を数年から数十年漂い続ける(Credit: アストロスケール)】

この衛星破壊実験のデブリ発生により、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた7人の飛行士が安全のための緊急措置をとり、ドッキングしている「クルードラゴン」宇宙船と「ソユーズ」宇宙船に約2時間ほど避難したとNASAが発表しました。飛行士は睡眠中でしたが、ISSのモジュールである「コロンバス」、「きぼう」、「恒久型多目的モジュール(PMM)」、「ビゲロー拡張型活動モジュール」、「クエスト エアロック」のハッチを閉め、宇宙船に避難したということです。

幸い被害は確認されず、飛行士たちはISSでの活動を再開したものの、一部の区域は安全のためハッチを閉めたままにしているということです。さらにISSには2人のロシア人宇宙飛行士が滞在しており、自国の飛行士がいるにも関わらず、衛星破壊実験をしたことに非難が集まっています。また、近年宇宙活動がこれまでよりも活発になっており、宇宙活動と同様にスペースデブリ問題も注目されています。各国はその対応に頭を悩ませている中で、ロシアの衛星破壊実験の実施により、大量のデブリが発生することになりました。

ロシアの衛星破壊実験により、多くのデブリが発生し、ISSにいた飛行士は緊急措置をとることになった(Credit: NASA)

【▲ロシアの衛星破壊実験により、多くのデブリが発生し、ISSにいた飛行士は緊急措置をとることになった(Credit: NASA)】

標的となった衛星は、旧ソ連の軍事衛星「コスモス1408」です。1982年にプレセツク宇宙基地からツィクロン3ロケットで打ち上げられ、すでに引退しています。重量は2000kg、高度485kmを周回していたということです。

ロシアの衛星破壊実験について、多くの国や団体が非難の声明を出しています。NASA長官のビル・ネルソン氏は「有人宇宙飛行の歴史において、ロシアがアメリカ人飛行士やISSに滞在中の国際パートナーの飛行士のみならず、自国の飛行士に対して危険を与えるのは、考えられません。」と非難しました。さらに「中国宇宙ステーションに滞在している中国人飛行士にも脅威を与えます」と話しています。

またアメリカ宇宙軍の司令官であるジェームズ・H・ディキンソン氏は「ロシアはすべての国にとって宇宙空間の安全性や安定性、長期間にわたる持続可能性を無視する故意的な実験を行いました。生み出された破片は何年にもわたって宇宙空間で脅威を与え続け、衛星や宇宙計画にとってリスクとなり、さらなる衝突回避軌道変更が必要でしょう。」と、宇宙空間における長期的な影響を述べました。また、「宇宙活動は生活を支えており、今回の実験は無責任」だと批判しています。

さらに、安全で持続可能な宇宙空間を目指すために、軌道上デブリ除去サービスを提供するアストロスケール社も声明を発表。アストロスケールは「宇宙空間にある物体を意図的かつ不必要に破壊することは無責任な行為です。今回の衛星破壊実験(ASAT)は、軌道上の宇宙飛行士のみならず、長期的視点においても宇宙環境の持続性を危険に晒し、私たちの世界地域全体での取組みを脅かすものです。地球周回軌道はすでに混雑状態であり、いかなるデブリの発生も宇宙開発におけるリスクやコストの上昇につながります。」と声明を出しています。また「次世代へ安全で持続可能な宇宙環境を継承するというビジョンの実現のため、国際社会はともに協力しなければならないのです。」と、国際協力によるスペース・デブリ問題の解決の重要性を述べています。

 

Image Credit: アストロスケール
Source: NASA/アメリカ宇宙軍/NASA Space Science Date Coordinated Archive/アストロスケール/Space News
文/出口隼詩

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