木星とガニメデに大接近!探査機ジュノーの撮影データを利用した衝撃的な再現映像
木星に接近する探査機ジュノー視点の映像。Youtubeから抜粋(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)
【▲ 木星に接近する探査機ジュノー視点の映像。Youtubeから抜粋(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)】

日本時間2021年6月8日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」木星とその衛星ガニメデに接近してフライバイ探査を行いました。

このフライバイ時にジュノーの可視光カメラ「JunoCam」によって撮影された画像をもとに、ジュノーから眺めたガニメデと木星の様子を再現して3分30秒にまとめたショートフィルムがNASAから公開されています。実際のデータを使って作成された迫力の映像をお楽しみ下さい。

▲Juno Flies Past the Moon Ganymede and Jupiter, With Music by Vangelis▲
(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)

動画はガニメデに接近するシーンから始まります。日本時間6月8日2時頃、ジュノーはガニメデの表面から1038km以内時速6万7000kmの相対速度で通過しました。ガニメデにここまで接近したのは、2000年5月に表面から1000kmまで近付いた木星探査機「Galileo(ガリレオ)」によるフライバイ以来21年ぶりのことでした。

NASAの木星探査機「ジュノー」がフライバイ探査を行った木星の衛星ガニメデ(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)
【▲ NASAの木星探査機「ジュノー」がフライバイ探査を行った木星の衛星ガニメデ(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS)】

夜側から接近して昼側へと通過していったジュノーが捉えたガニメデの表面は、明るい領域と暗い領域が入り混じっていることがわかります。NASAによると、暗い領域は表面の氷が昇華して暗い色合いの物質が残されたことで形成されたのではないかと考えられています。また、遠ざかるジュノーが捉えた昼側の表面には、明るい光条(形成時の放出物)をともなうクレーターも数多く見えています。

ガニメデへのフライバイから半日余り、ジュノーは続いて木星へと接近していきます。34回目となった今回の木星フライバイにおける最接近時の雲頂からの距離は3400km以内で、木星に対する最大速度は時速21万kmに達したとされています。地球から月までの平均距離が約38万4400kmですから、地球から2時間とかからずに月へ到達してしまうほどの速さです。

ジュノーは木星に北から接近して南へと通過していきました。動画では嵐が渦巻く暗く青みがかった両極域の様子や、南半球にある「string of pearls」(真珠の連なり)と呼ばれる8つの白い嵐のうち5つの姿を見ることができます。あちこちで輝く光はを再現したもので、ジュノーの観測によって得られた木星の大気に関する知見が活かされています。

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なお、ガニメデへのフライバイを行ったことでジュノーの軌道は変更され、木星を1周するのに要する期間は約53日から約43日へと計画通り短縮されました。ジュノーによる次の木星フライバイは7月21日に予定されています。

 

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Animation: Koji Kuramura, Gerald Eichstädt, Mike Stetson
Music: Vangelis
Producer: Scott J. Bolton
Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS
Source: NASA/JPL
文/松村武宏