フェアリングに格納された多目的実験モジュール「ナウカ」(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)

【▲ フェアリングに格納された多目的実験モジュール「ナウカ」(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)】

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは現地時間7月8日、国際宇宙ステーション(ISS)のロシア区画へ新たに追加される多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」(露:Наука、ロシア語で「科学」の意味)の打ち上げ予定日が再設定されたことを明らかにしました。

新たに発表されたナウカの打ち上げ予定日時は、日本時間2021年7月21日23時58分です(予備日は7月22日と23日)。「プロトンM」ロケットで打ち上げられたナウカは8日かけてISSへ飛行し、日本時間7月29日22時26分にISSのサービスモジュール「ズヴェズダ(Zvezda)」の下部(天底側)にドッキングする予定です。

現在ズヴェズダの下部にはドッキング室1「ピアース(Pirs)」が結合されていますが、ピアースはナウカの打ち上げに合わせて廃棄されることが決まっています。ピアースの分離と廃棄には現在ドッキングしている無人補給船「プログレスMS-16」が用いられる予定で、プログレスMS-16はピアースごとISSから切り離され、分離から4時間後に大気圏へ再突入して廃棄されます。ピアースの分離日時は7月23日(ナウカの打ち上げが7月21日に実施された場合)が予定されています。

ピアースはこれまでロシア区画のエアロックとして活躍してきましたが、エアロックの機能はズヴェズダの上部(天頂側)に結合されている小型研究モジュール2「ポイスク(Poisk)」が引き継ぎます。2020年11月に実施された船外活動では、初めてポイスクがエアロックとして使用されました。また、2か所にドッキング機構を持つピアースは有人宇宙船「ソユーズ」やプログレス補給船のドッキングにも利用されてきましたが、ナウカも機体の前後2か所にドッキング機構が設けられており、ソユーズやプログレスとのドッキングに対応します。

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フェアリングに格納されるナウカ(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)

【▲ フェアリングに格納されるナウカ(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)】

なお、ロスコスモスはナウカの打ち上げ日が再設定された理由について具体的には言及せず、先日確認された問題は解決されたと触れているのみですが、一部メディアでは機体の表面を覆う断熱材の不備とその対策が遅延の理由となった可能性が報じられています。

ロシアのニュースサイトGazeta.Ruによると、フェアリングに格納する作業を終えたナウカの燃料補給を行おうとした時点で、機体外部のスタートラッカー(星の光を捉えて機体の姿勢を把握するためのセンサー)が断熱材で保護されていなかったことが判明。問題を解決するためにフェアリングを取り外さなければならなかったとされています。

Gazeta.Ruは情報筋の話として、ロシアがナウカのように大型のモジュールを打ち上げるのは2000年7月のズヴェズダ打ち上げ以来21年ぶりのことであり、作業員の世代交代が進んで当時の経験を有する人はすでに現場におらず、手順書に従う作業員にはスペシャリストが失念した断熱材の存在に気付けなかったとする背景を伝えています。

 

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Image Credit: Roscosmos
Source: Roscosmos / Gazeta.Ru
文/松村武宏

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