火星探査車「Perseverance」が撮影したジェゼロ・クレーターのパノラマ画像(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)

【▲ 火星探査車「Perseverance」が撮影したジェゼロ・クレーターのパノラマ画像(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】

こちらは2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターへ着陸したアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車(ローバー)「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」が撮影したパノラマ画像です。NASAのジェット推進研究所(JPL)から現地時間6月9日に公開されました。

上の画像は記事に掲載するためにやむを得ず縮小していますが、元の画像(PNG)は93,060×20,652ピクセル、ファイルサイズは1.88GBもあります。パノラマの作成にはPerseveranceのマスト(「頭」と表現される部分)に搭載されているズーム対応カメラ「Mastcam-Z」によって2021年4月15日~26日にかけて撮影された992枚の画像と、ナビゲーションカメラ「NavCam」によって2021年3月20日に撮影されたPerseveranceの車体の画像が用いられています。

せっかくの広大なパノラマ画像も縮小するとどこか物足りなく感じてしまいますが、嬉しいことに、JPLの公式YouTubeチャンネルでは自由に視点を動かしたり気になる部分を拡大したりできる360度ビュー版が公開されています。

▲Perseveranceが撮影したパノラマ画像(360度ビュー版)▲
(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)

こちらは以前ご紹介した「Curiosity(キュリオシティ)」撮影の360度パノラマビューと同様に、スマートフォンで表示する場合は本体を動かすと視点が動き、PCではドラッグ操作や左上のコントローラーを使って視点を動かすことができます。さらに、Perseveranceに搭載されているマイクが2021年2月22日に録音した火星の風の音も追加されています。

ちなみに、360度ビュー版では再生の途中で方角や一部の地形・人工物についての注釈および拡大画像が表示されます。Mastcam-Zが画像を撮影したのはPerseveranceに搭載されていた火星ヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」の初飛行(4月19日)と2回目の飛行(4月22日)が行われた時期にあたりますが、パノラマでは「ライト兄弟飛行場」と名付けられた離着陸地点に駐機するIngenuityが、Perseveranceの走行痕の向こうに小さく写っています。

また、北から西にかけての彼方にはジェゼロ・クレーターの縁三角州の急斜面が見えていて、その手前には非公式にKodiak(コディアック)と呼ばれている幅200mほどのメサ(卓状台地)が写っています。ジェゼロ・クレーターに残る三角州はもともと現在よりも大きかったものの、侵食を受けて小さくなったと考えられており、Kodiakは侵食されずに残った三角州の一部とみられています。

360度ビュー版の途中で表示される注釈の例(日本語表記は筆者が追加)(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)

【▲ 360度ビュー版の途中で表示される注釈の例(日本語表記は筆者が追加)(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】

JPLによると現在Perseveranceは最初の科学調査活動に着手しており、パノラマの撮影地点から南に広がる4平方kmの区域を数か月間に渡って調査する予定です。かつてジェゼロ・クレーターには湖が存在していたと考えられていて、JPLの宇宙生物学者Kevin Hand氏によると、38億年前のこの区域の水深は少なくとも100mだったといいます。次の調査活動に移る頃にはPerseveranceの走行距離合計2.5~5kmに達し、将来のミッションで地球に運ばれる予定のサンプル保管容器43本のうち8本がサンプルで満たされる可能性があるとのことです。

関連:火星探査車「Perseverance」について知っておきたい7つのこと

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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