NASA、オリオン宇宙船に“搭乗”するマネキンの命名コンテスト開催

アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間6月15日、有人月面探査計画「アルテミス」最初のミッション「アルテミス1」において宇宙船に「搭乗」するマネキンの命名コンテスト開催を発表しました。

NASAは「アルテミス1」ミッションでオリオン宇宙船に搭載されるマネキンの命名コンテストを開催する(Credit: NASA)
【▲ NASAは「アルテミス1」ミッションでオリオン宇宙船に搭載されるマネキンの命名コンテストを開催する(Credit: NASA)】

アルテミス計画は、1960~70年代に実施されたアポロ計画以来となる有人月面探査計画です。アルテミス計画では2024年に予定されている「アルテミス3」ミッションにおいて最初の有人月面探査が行われますが、今年2021年後半には新型宇宙船「オリオン」大型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」の初飛行にあたる無人のアルテミス1ミッションが実施される予定となっています。

アルテミス1では人間の全身を模した1体のマネキン(manikin※)と、胴体を模した2体のファントム(phantom、人体模型の一種)がオリオン宇宙船に搭載されます。マネキンは2つの放射線センサーを装備した上で、「オリオンスーツ」(Orion suit)と呼ばれるオレンジ色の船内用宇宙服(Orion Crew Survival System suit)を着用。マネキンが座る座席には2つのセンサーが取り付けられ、ミッションを通して加速度と振動を記録します。また、ファントムは船内における宇宙放射線の測定と放射線遮蔽ベストの評価に使用されます。得られたデータは、2023年に予定されている「アルテミス2」以降の有人ミッションにおける宇宙飛行士の保護に役立てられることになります。

※…NASAは月にちなんで「ムーニキン」(Moonikin)とも呼んでいます

今回開催されるのは、このマネキンの名前を決めるコンテストです。NASAによると、コンテストは8つの候補によるトーナメント方式で行われ、投票Twitter、Facebook、Instagramにおいて現地時間2021年6月16日(水)から28日(月)にかけて隔日で開催。選ばれた名前は6月29日(火)に発表されます。

【▲ マネキン命名コンテストのトーナメント表(Credit: NASA)】

候補の一覧とその簡単な由来は以下の通りです。

ACE(エース)…Artemis Crew Explorerの略
CAMPOS(カンポス)…アポロ13号の生還に貢献したエンジニアのArturo Campos氏
DELOS(デロス)…ギリシア神話においてアポロンとアルテミスが誕生したデロス島に由来
DUHART(デュハート)…ケネディ宇宙センターのチーフメディカルオフィサーを務めたIrene Duhart氏
MONTGOMERY(モントゴメリー)…ケープカナベラル空軍基地で技術専門家として働いた初のアフリカ系アメリカ人Julius Montgomery氏
RIGEL(リゲル)…オリオン座の1等星リゲル
SHACKLETON(シャクルトン)…南極探検隊を率いたアーネスト・シャクルトンと彼にちなんで命名された月の南極にあるクレーター
WARGO(ワーゴ)…NASA有人探査運用局初の主任探査科学者(chief exploration scientist)を務めたMichael Wargo氏

SNSで好きな名前に票を投じるコンテストなので、日本からでも参加しやすそうなのが嬉しいところ。発表では最初の投票が始まる時間は案内されていませんが、時差を考慮すれば日本時間6月16日夜~17日未明頃からになるのではないかと思われます。興味のある方は以下のアルテミス計画公式アカウント・公式ページをフォローして、投票に参加してみてはいかがでしょうか?

アルテミス計画:Twitter / Facebook / Instagram

 

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Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏