中国国家航天局(CNSA)は5月19日、火星への着陸に成功した火星探査車「祝融(しゅくゆう)」によって撮影された初の画像を公開しました。冒頭の画像は祝融の車体上部に搭載されているナビゲーションカメラによって撮影されたカラー画像で、祝融の電力源である太陽電池や車体後部の通信アンテナ、それに赤茶けた火星の地表が写っています。アンテナの根元付近や車体上部にはカメラの較正用ターゲットと思しきものも見えています。
次の画像は車体前方に取り付けられている障害物回避カメラによって撮影されたモノクロ画像で、着陸機の上に載っている祝融から見た前方の眺めとなります。地表へと伸びているのは祝融が着陸機から降りるためのスロープで、右上と左上に見えているのは祝融に搭載されている地中レーダーのアンテナです。画像を見る限り、前方には祝融が着陸機から降りるのを妨げる大きな岩などの障害物は無さそうです。
祝融は火星探査機「天問1号」の探査車として、宇宙から火星を観測する周回機、祝融を火星の地表へと降ろす着陸機とともに、2020年7月23日に打ち上げられました。天問1号は2021年2月10日に火星の周回軌道へと入り、祝融を載せた着陸機は日本時間5月15日未明に天問1号の周回機から分離。同日8時18分に火星北半球のユートピア平原へ着陸することに成功しています。
CNSAによると、着陸機を分離した周回機は5月17日に実施された軌道修正により通信を安定して中継可能な軌道へと入り、祝融から地球へと画像が送信できるようになりました。また、今回は祝融が撮影した2点の画像に加え、祝融を搭載した着陸機が分離された際に周回機から撮影された動画も公開されています。現在祝融は着陸機を離れる準備を進めているとされており、間もなく火星の地表における祝融の活動が始まるものと思われます。
なお、現在唯一火星で探査車を運用するNASAのビル・ネルソン長官も、祝融から最初の画像が送られてきたことを祝いつつ、火星に関する人類の知識を進歩させるであろう祝融による発見をアメリカと世界は楽しみにしているとツイートしています。
Congratulations to CNSA on the first images from the Zhurong Mars rover!
— Bill Nelson (@SenBillNelson) May 19, 2021
As the international scientific community of robotic explorers on Mars grows, the US and the world looks forward to the discoveries Zhurong will make to advance humanity’s knowledge of the Red Planet. https://t.co/cz04yOTJSh
Image Credit: CNSA
Source: CNSA
文/松村武宏