【▲ 4月25日に実施された3回目の飛行でIngenuityが撮影した地表の様子 ※モノクロ(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

火星での飛行記録が着々と積み重ねられつつあります。アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は現地時間4月25日、火星ヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」による3回目の飛行が成功したことを発表しました。

2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターへ着陸した探査車「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」の車体底部に搭載される形で火星に到着したIngenuityは、4月19日に史上初となる火星での航空機による制御された動力飛行に成功しました。

初飛行は高度3mでのホバリングを含む垂直方向の飛行のみでしたが、4月22日に実施された2回目の飛行では、高度5mで横に2m離れた場所まで移動する水平方向の飛行(往復で合計4m)を行った後に、「ライト兄弟飛行場」と名付けられた離発着地点の上空へ戻り、無事着陸することに成功していました。

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3回目の飛行日本時間2021年4月25日17時31分に始まりました。最高高度は2回目と同じ高度5mでしたが、今回Ingenuityは最大で秒速2m(時速7.2km)の対気速度で50m離れた地点までの水平飛行(往復で合計100m)を行い、約80秒後にライト兄弟飛行場へ無事着陸しました。今回の飛行における水平方向の最大速度は、秒速0.5mだった2回目の4倍に達しています。

次の動画はPerseveranceのズーム対応カメラ「Mastcam-Z」によって撮影された今回の飛行の様子です。画面左下から垂直に上昇したIngenuityが右方向の撮影範囲外まで水平に飛行し、戻ってから着陸するまでの様子が捉えられています。

【▲ Perseveranceによって撮影されたIngenuityの3回目の飛行(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】

Ingenuityは長さ1.2mのカーボンファイバー製ローター(二重反転式)を備えた重量1.8kgの小型ヘリコプターで、ローターの上に備わっている太陽電池を使ってバッテリーを充電することで、飛行実験を繰り返すことが可能です。地球と火星の通信には分単位のタイムラグが生じるため、Ingenuityは事前にPerseverance経由で送信されたコマンドに従って自律的に飛行するように作られています。運用チームは今回の飛行で得られたデータの分析に取り組んでおり、数日以内に4回目の飛行計画が立てられる見通しです。

【▲ 火星で航空機から撮影された初のカラー画像。4月22日に実施されたIngenuityの2回目の飛行時に撮影されたもの(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

 

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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