着陸前に再点火された直後のスターシップ試験機「SN11」のエンジン。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

着陸前に再点火された直後のスターシップ試験機「SN11」のエンジン。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

日本時間2021年3月30日、スペースXは開発中の大型宇宙船「スターシップ(Starship)」の試験機「SN11」(SNはSerial Numberの略)による4回目の高高度無人飛行試験を行いました。

テキサス州ボカチカで実施された今回の試験において、SN11は目標高度10kmへの到達に成功し、着陸地点に向けた降下も行われました。しかし、着陸前のエンジン再点火直後に何らかの問題が発生したとみられ、機体は失われています。

今回のSN11による飛行試験は、同年3月4日の「SN10」による3回目の飛行試験から1か月と間を置かずに実施されました。SN10では課題だった着陸に成功したものの、その数分後に機体が爆発。スペースXのCEOイーロン・マスク氏は、SN10では着陸時にエンジンの推力が低下し、衝撃によって着陸脚など機体の一部が損傷するほどの速度(秒速10m)で接地したとツイートしています。

スターシップの建造と試験が行われているテキサス州ボカチカで取材を続けているNASASpaceFlight.comによると、SN11では着地の瞬間までに速度を十分減速させることが最終的な目的になっていたといいます。SN10までは着陸前の姿勢変更時に2基もしくは3基のエンジンを再点火し、最終的には1基のエンジンのみを用いて着陸していましたが、SN11では冗長性を高めるために2基のエンジンを使った着陸が試みられる予定でした。

スターシップ試験機「SN11」離陸の瞬間。霧が立ち込めていたため機体は見えない。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

スペースXはスターシップの飛行試験を毎回ライブ配信していますが、SN11飛行当時のボカチカには濃い霧が立ち込めており、地上からの映像では機体を識別することができませんでした。機体に搭載されているカメラからの映像では上昇中のエンジンの様子や上空から水平姿勢で降下中のフラップの動きなどが確認できるものの、映像は着陸前のエンジン再点火直後の時点(離陸から5分49秒後、冒頭の画像)で途切れています。マスク氏はSN11の飛行後に、着陸前のエンジン燃焼開始直後に問題が発生した可能性について言及しています。

スターシップの飛行試験は2019年8月の縮小版試験機「スターホッパー」による高度150mへの低高度飛行試験から始まりました。2020年からは実機サイズの試験機による飛行が始まり、8月の「SN5」と9月の「SN6」は機体やエンジンの一部を省略した状態での低高度飛行試験に成功しています。

その後は降下中に機体の姿勢と誘導を担う4枚のフラップやノーズコーン(機首部分)、それに3基のエンジンを搭載した機体による高高度飛行試験に移行。2020年12月の「SN8」と2021年2月の「SN9」による飛行試験では離陸から制御された降下までは成功したものの、どちらもソフトランディングには至らず機体を喪失しています。

スペースXでは数百に及ぶ設計上の改善を行ったとする次の試験機「SN15」の準備を進めており、マスク氏によるとSN11の飛行試験から数日後には発射台に運ばれる模様です。また、スターシップの打ち上げに使われるブースター「スーパーヘビー(Super Heavy)」の試験機「BN2」も並行して準備が進められています。なお、マスク氏はスターシップ試験機「SN20」とスーパーヘビー試験機「BN3」による初の軌道への打ち上げを2021年7月に実施するとした目標を明らかにしています。

水平姿勢に移って降下するスターシップ試験機「SN11」からの映像。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

 

関連:スペースX「スターシップ」高高度飛行試験でついに着陸成功、しかし数分後に爆発

Image Credit: SpaceX
Source: SpaceX / NASASpaceFlight.com
文/松村武宏

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