地球を周回する「ハッブル」宇宙望遠鏡(Credit: NASA)

地球を周回する「ハッブル」宇宙望遠鏡(Credit: NASA)

宇宙望遠鏡の代名詞とも言える「ハッブル」宇宙望遠鏡は、2021年4月で打ち上げから31周年を迎えます。長きに渡り天文学に貢献し続けているハッブル宇宙望遠鏡は幾度かのトラブルを乗り越えてきましたが、31周年を目前に控えた2021年3月にも一時セーフモードに入っていたことがアメリカ航空宇宙局(NASA)によって発表されています。

NASAによると、ハッブル宇宙望遠鏡は3月7日18時過ぎ(日本時間、以下同様)、ソフトウェアエラーが検出されたためセーフモードに切り替わりました。運用チームがエラーの原因を分析したところ、ハッブルのシステムに最近追加された拡張機能の書き込み権限に問題があったことが判明したといいます。

ハッブル宇宙望遠鏡には望遠鏡の姿勢を制御するために複数のジャイロスコープ(リアクションホイール)が搭載されています。問題の拡張機能はジャイロスコープの1つがもたらす影響を補正するためにアップロードされたもので、この拡張機能は将来修正されるまで使用が中止されることになりました。セーフモードから復帰したハッブルは3月12日10時頃から科学観測を再開し、早速「宇宙起源分光器(COS:Cosmic Origins Spectrograph)」による活動銀河核の観測が行われています。

ただ、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている観測装置のひとつ「広視野カメラ3(WFC3:Wide Field Camera 3)」の復帰は3月14日9時頃までずれ込みました。NASAによると、セーフモードから復帰する際に広視野カメラ3の電源電圧の測定値が通常よりもわずかに低かったことで、機器を保護するために復旧プロセスが一時中断された模様です。

2009年5月のスペースシャトルによるSTS-125ミッションで取り付けられた広視野カメラ3は、電子機器の老朽化にともない電源の電圧レベルが徐々に低下し続けているといいます。加えてセーフモード中は電子機器の温度が通常よりも低くなるため、老朽化による電圧の低下とあわせて復旧時に電圧変動が生じ、広視野カメラ3の復旧プロセス中断に至ったとみられています。

また、ハッブル宇宙望遠鏡の開口部には強い太陽光から観測装置を保護する必要が生じた際などに自動的に閉じるドアが備わっていますが、今回このドアが閉じなかったことが判明したといいます。運用チームはドアを開閉するモーターをメインからバックアップに切り替えるとともに、今後の対応を検討することにしています。

 

関連:「ハッブル」宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年記念画像が公開される

Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏

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