日本時間2021年2月19日朝、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査ミッション「マーズ2020」の探査車「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」は火星のイシディス平原西端にあるジェゼロ・クレーターへの着陸に成功しました。着陸直後に届いたモノクロ画像に続き、Perseveranceが撮影した最初のカラー画像などがNASAのジェット推進研究所(JPL)から公開されています。
■障害物検出用のカメラで撮影された2枚のカラー画像
こちらがPerseveranceの車体に取り付けられている「HazCams(Hazard Cameras)」の1つを使い、カメラを保護するダストカバーを外した後に撮影された最初の高解像度カラー画像です。ダストカバー越しに撮影された着陸直後の画像と同じカメラで撮影されたため、地面に幾つも顔をのぞかせている岩の形や配置、右奥に見える山の稜線が一致しています。
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次の画像はHazCamsの別のカメラで撮影されたもので、Perseveranceに6つ装着されているホイールの1つが写っています。HazCamsはPerseveranceの車体前方に4つ、後方に2つの合計6つ設置されているカメラ群の総称で、前後に存在する岩や溝といった障害物の検出に利用されるほかに、ロボットアームを動作させる場所の確認などにも用いられます。
■着陸寸前のPerseveranceや火星の軌道上から撮影された画像も公開
また、着地寸前のPerseveranceを捉えたこちらの画像も公開されました。これはPerseveranceの降下ステージに搭載されていたカメラで撮影されたもので、Perseverance本体が降下ステージから繰り出されたケーブルに吊り下げられている「スカイクレーン(sky crane)」と呼ばれる独特の形態になった様子を真上から捉えています。なお、降下ステージはPerseveranceの接地後にケーブルが切り離されて着陸地点から飛び去り、離れた地表に落下してその使命を終えています。
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いっぽう、こちらはPerseveranceではなく火星を周回するNASAの探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」の高解像度撮像装置「HiRISE(The High-Resolution Imaging Science Experiment)」によって撮影された画像です。斜め上から見下ろすように撮影されたジェゼロ・クレーターの上空に、パラシュートを展開して減速しつつあるPerseveranceの姿が小さく写っています。
撮影時のMROはPerseveranceから約700km離れていて、火星の周回軌道上を秒速約3kmで飛行していました。降下中のPerseveranceをHiRISEで捉えるのは容易いことではなく、JPLによるとMROは上向きのピッチングと激しい左ローリングを行うことで適切なタイミングで撮影することができたといいます。
なお、現地時間2月20日には静止画・動画・3Dステレオ画像のカラー撮影に対応する「Mastcam-Z」、ナビゲーション用の「NavCam」、レーザーを利用して岩石の組成を分析する「SuperCam」が備えられたマスト(Perseveranceの“頭”)が展開され、NavCamによって周辺のパノラマ画像が撮影される予定です。
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Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏
Last Updated on 2021/02/22