建設開始時点での月周回有人拠点「ゲートウェイ」を描いた想像図(Credit: NASA)

建設開始時点での月周回有人拠点「ゲートウェイ」を描いた想像図(Credit: NASA)

アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間2月10日、建設の準備が進められている月周回有人拠点「ゲートウェイ」について、最初の打ち上げを担うロケットにスペースXの「ファルコンヘビー」が選定されたことを発表しました。打ち上げは2024年5月以降とされており、これをもってゲートウェイの建設がスタートすることになります。

NASAによるとゲートウェイは国際宇宙ステーション(ISS)のおよそ6分の1の大きさで、有人月面探査計画「アルテミス」における中継地点として機能します。ゲートウェイが建設されるのは地球からの輸送コストが月の低軌道に建設する場合と比べて約7割と比較的小さな「NRHO(near-rectilinear halo orbit)」と呼ばれる細長い楕円軌道で、アルテミス計画で探査が予定されている月の南極域を長時間見通せることから月面と地球の通信を中継することも可能です。

今回ファルコンヘビーによって打ち上げられることが決まったのはマクサー・テクノロジーズが製造を担当する「PPE(Power and Propulsion Element)」と、ノースロップ・グラマンが担当する「HALO(Habitation and Logistics Outpost)」という2つのモジュールです。

PPEは2枚の太陽電池パドルや電気推進ロケットエンジンを備えており、各モジュールへの電力供給、高速通信、姿勢制御に加えて軌道変更能力も有します。もう一つのHALOは内部が与圧される居住モジュールの一つで、新型宇宙船「オリオン」や開発中の月着陸船「有人着陸システム」(HLS:Human Landing System)、補給船などのドッキングが可能。宇宙飛行士の滞在や乗り換え、ゲートウェイの制御、科学調査の支援などを担います。

もともとPPEとHALOは別々に打ち上げられて月の周回軌道上で結合される予定でしたが、NASAは技術的なリスクの回避やコストを削減するためにPPEとHALOをあらかじめ結合した状態で一度に打ち上げることを2020年に明らかにしていました。この時点での打ち上げ予定は2023年末でしたが、今回の発表では半年ほど先送りされています。

スペースXは地球からゲートウェイへの補給物資運搬ミッション有人着陸システム(HLS)の開発を担当する企業の一つとしても選定されています。同社は有人宇宙船「クルードラゴン」によるISSへの運用飛行も担っており、今回ゲートウェイを構成するモジュールの初打ち上げにファルコンヘビーが選ばれたことで、アメリカの宇宙開発・宇宙探査における重要度と存在感がさらに高まることになりそうです。

なお、アルテミス計画では2021年11月に新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」とオリオン宇宙船の無人飛行試験にあたる「アルテミス1」2023年には有人飛行試験にあたる「アルテミス2」、そして2024年には半世紀ぶりの有人月面探査となる「アルテミス3」の各ミッションが実施される予定です。

2019年4月に通信衛星「アラブサット6A」を搭載して打ち上げられたファルコンヘビーロケット(Credit: SpaceX)

2019年4月に通信衛星「アラブサット6A」を搭載して打ち上げられたファルコンヘビーロケット(Credit: SpaceX)

 

関連:人類が再び月を目指す「アルテミス計画」を分かりやすく解説

Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏

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