スペースX、初のライドシェア(相乗り)サービスを実施 日本の小型衛星も搭載
143基の小型衛星を搭載したファルコン9ロケット(Credit:SpaceX Twitter)
143基の小型衛星を搭載したファルコン9ロケット(Credit:SpaceX Twitter)

日本時間1月25日午前0時0分、スペースXのファルコン9ロケットが打ち上げられました。自社が行う初めての相乗り衛星サービス(ライドシェア)が行われ、史上最多となる144基の衛星分離に成功しました。打ち上げられた衛星の中には、九州に本社を置く宇宙企業の超小型SAR衛星も搭載され、同日の朝には初めての交信に成功したということです。

今回のミッションは「Transporter-1」と呼ばれており、133基の民間及び政府の小型(超小型)衛星を搭載。加えて10基のスターリンク衛星を初めて極軌道へ投入しました。なお、民間の小型衛星はPlanetやICEYEなどのベンチャー企業が開発・製作した地球観測衛星や通信衛星などがその多くを占めています。

ファルコン9に搭載された小型人工衛星(Credit: Spacex)
ファルコン9に搭載された小型人工衛星(Credit: Spacex)

このミッションでは、日本の小型SAR衛星2号機「イザナミ」も打ち上げられました。この衛星は、九州大学に端を発する宇宙企業QPS研究所が開発。分解能は1mで、車や船舶などの観測も可能ということです。また、衛星の重量は100kgで世界初の小型SAR衛星です。最終的には軌道上に36機の衛星を配置し、地球のあらゆる場所を10分以内に撮影できたり、特定の地域だけを10分に1回観測することもできます。さらに、SAR衛星は地上の天候や昼夜問わず観測できるため、災害が発生した場合でも迅速に被害地の状況確認が可能です。なお、同研究所は2019年12月にインドのロケットを使用して小型SAR衛星1号機「イザナギ」の打ち上げと運用も行っています。

小型衛星を搭載したファルコン9ロケットは、アメリカ・フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地第40番発射台から打ち上げられました。打ち上げは悪天候のため何度か延期。また、ロケット第一段部分とフェアリングの回収にも成功しました。これで第一段の機体は5回使われたことになります。

 

Image Credit: SpaceX Twitter
Source: SpaceX, SpaceNews, Spaceflight Now, QPS研究所ホームページ
文/出口隼詩