サンプルキャッチャA室から見つかった、第1回タッチダウンで採取された小惑星リュウグウの砂(Credit: JAXA)

サンプルキャッチャA室から見つかった、第1回タッチダウンで採取された小惑星リュウグウの砂(Credit: JAXA)

JAXAは12月15日の記者会見で、小惑星探査機「はやぶさ2」の持ち帰ったカプセルの中から、小惑星リュウグウの砂とガスが見つかったと発表しました。

地球外天体に由来するガスを持ち帰ることができたのは世界初のことです。確認できた砂の量は、目標の0.1g以上に対し、1g以上は採取できているだろうとのことでした。

サンプルコンテナの底から見つかったリュウグウの砂(Credit: JAXA)

サンプルコンテナの底から見つかったリュウグウの砂(Credit: JAXA)

■夢にまで見た小惑星の砂

会見冒頭、津田プロジェクトマネージャはビデオメッセージでリュウグウで採取された砂が相当量入っているということが確認できたこと、リュウグウ由来の気体も確認できたことを説明し、「私たちが夢にまで見た砂、地球外の天体のサンプルが今、私たちの手元にあるのです」とその喜びを述べました。

次いでサイエンスチームのリーダーを務める渡邊誠一郎名古屋大学教授は「大気圏の外から、地球のものに混じらずに、非常にフレッシュな形で小惑星の表面物質を持ち帰ることができた」コメントしました。

コメントを述べる名古屋大学の渡邊誠一郎教授(Credit: JAXA)

コメントを述べる名古屋大学の渡邊誠一郎教授(Credit: JAXA)

■「ごろごろ入っている」

サンプルが収まっている容器をサンプルコンテナといいます。外筒の中に、サンプルキャッチャと呼ばれる内筒が入った二重構造になっています。

「はやぶさ2」は最大3回のタッチダウンを予定していたので、内筒のサンプルキャッチャはA室・B室・C室の3つの小部屋が設けられ、各回のタッチダウンで採取した試料が混ざらないようになっています。

実際のタッチダウンは2回だったので、使用したのはA室・C室でした。

サンプルコンテナとサンプルキャッチャの構造(Credit: JAXA)

サンプルコンテナとサンプルキャッチャの構造(Credit: JAXA)

オーストラリアから日本に戻ったカプセルは、神奈川県相模原市にあるJAXA宇宙科学研究所内の専用の施設で、1週間ほどかけて開封作業が進められていました。

今回開封したのは第1回タッチダウンの試料を収めたA室です。開封後、最初にサンプルキャッチャを覗いたサンプラ主担当のJAXA澤田弘崇主任研究開発員は、その時の様子を「言葉を失って、感動するくらい入っていました。数ミリ程度の粒子がごろごろと」と振り返りました。

サンプルキャッチャA室の位置(Credit: JAXA)

サンプルキャッチャA室の位置(Credit: JAXA)

その後の会見でも「ごろごろ」「ざくざく」といった言葉がしばしば飛び出し、プロジェクトサイエンティストの渡邊誠一郎名古屋大学教授、初期分析チームリーダーの橘省吾東京大学教授ら会見に臨んだサイエンスチームの面々はみな、「当初計画以上のことができるのでわくわくしている」と顔をほころばせました。

リュウグウの砂は、サンプルキャッチャを引き抜いた後のサンプルコンテナの底からも見つかっています。また、第2回タッチダウンで使ったC室は未開封のままなので、更に多くの試料が採取されていることが期待できます。

■新鮮なことが大事

「はやぶさ2」が訪れた小惑星リュウグウは、C型と呼ばれる分類の小惑星です。炭素を多く含むこのタイプの小惑星が起源と考えられる石は、隕石の形で地上に届くことがあります。隕石にはいくつか分類がありますが、「炭素質コンドライト」という分類がそれに当たります。貴重な試料ではあるのですが、大気圏を通り抜け落下し回収されるまでの間に地球の物質と混じったり反応してしまい、どこまでがその隕石由来のものなのか分からない部分がありました。

「はやぶさ2」がもたらしたサンプルは、採った直後にリュウグウ上空で封をしてそのまま地上に届きました。厳重に密閉してあるため、地上の物質は混じっていません。宇宙にあったそのままに近い「新鮮」な状態で届いたサンプルと、地上に降ってきた炭素質コンドライトを比べることで、これまで以上に太陽系の起源に迫れるかもしれません。

砂には1mmを越える大きなものもあり、JAXA宇宙科学研究所地球外物質研究グループ長の臼井寛裕さんは私たちは研究者の方に採ってきたそのままの形でお渡しするのが仕事なので、できるだけ壊さないように取り扱いたい」と述べていました。取り扱い方には何種類かあり、粒ごとに最適な方法を考えながら拾っていくとのことです。

■「玉手箱の煙」から何が分かる?

「はやぶさ2」の持ち帰ったサンプルからは、砂だけではなくガスも確認されました。カプセルを玉手箱に例えるならガスは煙となるでしょうか。

リュウグウを含むC型小惑星は、脆い岩石の中に多量のガスを含んでいることが予想されていました。そのため計画時からガスを持ち帰って分析する計画がありました。ガスを漏らさないよう、また地球の大気が混入しないように、密閉度を高めた金属シールが開発されました。

カプセル地球帰還直後、オーストラリアでサンプルコンテナ内のガスを全て採取したにもかかわらず、日本に持ち帰った後、再度ガスが出ているのではないかと言うことで調査したところ、再び採取することができました。両者を比べるとよく一致したため、これはサンプル由来、すなわちリュウグウ由来のガスだと判断したのだと言うことでした。

サンプリングチームのメンバーで初期分析揮発性物質チームリーダーを務める岡崎隆司九州大学准教授からは「初期分析で大きな試料を破砕して同じようなガスが出るか調べてみたい」というコメントも飛び出すなど、今後様々な成果を生むことが期待されます。

橘省吾教授は「浦島太郎は玉手箱の煙で年を取りましたが、このガスから何が分かりますか」という質問に「私たち自身が年を取ることはないと思うが、太陽系の最初につれて行ってくれるのではないか」と答えました。

今後行われる初期分析で鉱物・水・有機物の相互作用の新たな発見があれば、「はやぶさ2」のミッションはフルサクセスを達成します。

 

Image Credit: JAXA
文/金木利憲

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