ヴァージン・ギャラクティックは日本時間2020年12月13日未明、宇宙船「スペースシップツー」の1機「VSSユニティ」による有人飛行試験を実施しました。VSSユニティは空中発射母機「ホワイトナイトツー」から日本時間同日1時15分頃に切り離されたものの、飛行試験を中止。2名の乗員と機体は切り離しから12分後に無事地上へ帰還しました。
今回の飛行試験は同社の拠点がニューメキシコ州のスペースポート・アメリカに移ってから初めて試みられた有人宇宙飛行です。当初は2020年11月19日~23日の間に実施される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響によりスケジュールが遅れていました。
同社パイロットのCJ Sturckow氏とDave Mackay氏の2名が乗り込んだVSSユニティはホワイトナイトツーに吊り下げられて日本時間12月13日0時24分頃に離陸。前述のようにおよそ50分後の同日1時15分頃に母機から切り離されましたが、ロケットエンジンを正常に点火できなかったことから飛行は中止されました。
ヴァージン・ギャラクティックCEOのMichael Colglazier氏は「VSSユニティのエンジンを監視するオンボードコンピュータが接続を失った」ために、安全対策としてエンジンが停止されたとコメント。Colglazier氏は機体がスペースポート・アメリカへ安全に帰還したことを強調した上で、根本的な原因の調査を含むデータの評価を進めているとしています。
同社はスペースシップツーによる宇宙旅行の商業化を目指しており、2018年12月には2名のパイロットを乗せた飛行試験において高度82.7kmの宇宙空間(※)への到達に成功しています。スペースシップツーの飛行は地球を周回しないサブオービタル飛行ではあるものの、乗客は数分間の無重力状態を体験しつつ、宇宙からの眺めを楽しむことができるとされています。
※…国際的には高度100km以上が宇宙とされているが、米空軍は高度80km以上と定義している
Image Credit: Virgin Galactic
Source: ヴァージン・ギャラクティック / SpaceNews
文/松村武宏
Last Updated on 2020/12/14