上昇を終えて降下のための水平姿勢に移ったスターシップ「SN8」。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

上昇を終えて降下のための水平姿勢に移ったスターシップ「SN8」。スペースXによるライブ配信アーカイブより(Credit: SpaceX)

日本時間2020年12月10日朝、スペースXは開発中の大型宇宙船「スターシップ」の試験機「SN8」(SNはSerial Numberの略)による初の高度12.5kmへの高高度無人飛行試験を実施しました。離陸と上昇および上空からの降下には成功したものの、着陸時に機体は地上へ激突して失われています。

こちらはYouTubeで公開されているスペースXによるライブ配信のアーカイブ映像です。3基の「ラプター」エンジンを点火したSN8はゆっくりと上昇を始め、後述する過去の試験飛行で達成した高度150mをはるかに越える高さに到達。打ち上げから4分40秒後にSN8はエンジンを停止して降下のための水平姿勢に移り、前方と後方に計4枚備えられたフラップを稼働させて着陸地点を目指し降下を始めます。打ち上げから6分31秒後にはエンジンが再点火されて着陸に備えた垂直姿勢へ戻りましたが、速度を落としきれずに地上へ激突してしまいました。

いっぽう、こちらはスペースXの公式Twitterアカウントにて公開されている、降下するSN8を地上から撮影した動画です。水平姿勢で降りてきたSN8が2基のエンジンを再点火し、垂直姿勢への姿勢変更を行う様子が捉えられています。

スペースXは2019年8月にスターシップの縮小版試験機「スターホッパー」による高度150mの飛行試験に成功し、同年10月には実物大のプロトタイプ「Mk1」を公開。2019年のうちに高度20kmを目標とした高高度飛行試験が行われる予定でしたが、実機スケールの試験機への移行後は地上試験での機体損傷・喪失が相次いでいました。

2020年に入ってからは8月に「SN5」、9月に「SN6」による高度150mへの飛行試験に成功しましたが、これらの機体は機首部分や降下時の制御を担う4枚のフラップが省略されており、さながら貯水塔やサイロのような外見をしていました。また、実機では6基(大気圏内用3基、大気圏外用3基)搭載されるエンジンも、SN5とSN6では大気圏内用の1基のみが搭載されて試験が行われています。

2020年9月に試験飛行を行ったスターシップ「SN6」(Credit: SpaceX)

2020年9月に試験飛行を行ったスターシップ「SN6」(Credit: SpaceX)

今回飛行したSN8は全長50mのスターシップ本来の姿で建造されており、エンジンも大気圏内用の3基をすべて搭載。特にフラップを用いた降下時の姿勢および飛行経路の制御が実際に行われたのは今回のSN8が初めてとなります。CEOのイーロン・マスク氏は、着陸時の速度が速すぎたために機体を喪失したものの、上昇やフラップによる着陸地点への誘導などは成功したとツイートしています。

スターシップは旅客輸送用のクルー型なら100名を、貨物輸送用のカーゴ型なら100トンのペイロード(人工衛星や貨物など)を地球低軌道に打ち上げる能力を備え、軌道上で推進剤を補給することで月や火星にも飛行可能とされています。スペースXではスターシップの試験機を量産しており、NasaSpaceFlight.comによると今回のSN8に続く「SN9」はすでに機体の組み立てが終了しています。

なお、ZOZOの元社長・前澤友作氏が複数名のアーティストとともにスターシップに乗り込み、2023年に月周辺を飛行する予定であることも昨年発表されています。また、マスク氏はスターシップによる火星への無人飛行の打ち上げを2022年に、有人飛行の打ち上げを2024~2026年に実施したいとする目標を掲げています。

 

関連:スペースX、8月に続きスターシップ試験機による無人飛行試験を実施

Image Credit: SpaceX
Source: SpaceX / NasaSpaceFlight.com
文/松村武宏

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