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国際宇宙ステーション(ISS)。2018年10月撮影
国際宇宙ステーション(ISS)。2018年10月撮影(Credit: NASA/Roscosmos)

今からちょうど20年前の日本時間2000年11月2日、3名の宇宙飛行士を乗せたロシアの「ソユーズTM-31」宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。20世紀最後の年に始まったISSでの宇宙飛行士滞在は途切れることなく続き、今日で20年を迎えています。

第1次長期滞在クルーの3名。左から:ギドゼンコ飛行士、シェパード飛行士、クリカレフ飛行士。ISSのサービスモジュール「ズヴェズダ」にて2000年12月に撮影
第1次長期滞在クルーの3名。左から:ギドゼンコ飛行士、シェパード飛行士、クリカレフ飛行士。ISSのサービスモジュール「ズヴェズダ」にて2000年12月に撮影(Credit: NASA)

ISS初の長期滞在クルーとしてソユーズTM-31に搭乗していたのは、ロシアのセルゲイ・クリカレフ(Sergei K. Krikalev)飛行士ユーリー・ギドゼンコ(Yuri P. Gidzenko)飛行士、アメリカのウィリアム・シェパード(William M. Shepherd)飛行士の3名でした。到着2日前の日本時間2000年10月31日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた3名はISSに4か月間ほど滞在し、2001年3月に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー」(STS-102ミッション)に搭乗していた第2次長期滞在クルーと入れ替わる形で地球に帰還しました。

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2000年当時のISSは建造が始まったばかりの段階で、同年7月にロシアのサービスモジュール「ズヴェズダ」が結合されたことで宇宙飛行士の長期滞在が可能になっていました。3名の滞在中には1組のソーラーパネルなどを備えた「P6トラス」と米国実験棟「デスティニー」がスペースシャトルによって運ばれ、ISSに取り付けられています。

第1次長期滞在クルー到着前の2000年9月18日にスペースシャトル「アトランティス」(STS-106)から撮影されたISS
第1次長期滞在クルー到着前の2000年9月18日にスペースシャトル「アトランティス」(STS-106)から撮影されたISS(Credit: NASA)

2011年に大規模な構成要素の組み立てが終わったISSでは、地上や宇宙の観測、微小重力環境を活用したさまざまな分野の科学実験などが行われています。たとえばISS船外に設置されている中性子星観測装置「NICER」や全天X線観測装置「MAXI」は、パルサーやブラックホールの研究に貢献しています。

2015年には宇宙で育てられた野菜を使ったサラダを宇宙飛行士が試食していますが、これは火星有人探査のような将来の長期間に渡るミッションにおいて食事の多様性や栄養素の補給を成り立たせるための研究の一環とされています。また、微小重力環境が人間に及ぼす骨や筋肉の減少といった影響を研究することは、月や火星を目指す将来の有人探査への備えのみならず、地上における老化や生活習慣などの影響を理解する助けにもなっています。

ISSで育てられている水菜の葉をカットするジェシカ・メイヤー宇宙飛行士
ISSで育てられている水菜の葉をカットするジェシカ・メイヤー宇宙飛行士(Credit: NASA)

食料や実験機器などとともに補給船で運ばれた超小型人工衛星をISSから放出する機会も増えていて、比較的安価な手段として注目されています。衛星の放出はエアロックを備えたISSの日本実験棟「きぼう」にて行われていますが、2020年12月には衛星の放出に対応する米ナノラックス社のエアロックモジュール「Bishop(ビショップ)」が打ち上げられ、ISSの第3結合部「トランクウィリティー」に設置される予定となっています。

なお、日本時間2020年11月15日(予定)にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の野口聡一宇宙飛行士ら4名が搭乗するスペースXの新型有人宇宙船「クルー・ドラゴン」運用初号機の打ち上げが行われます。2030年頃まで運用される見込みのISSには2021年にロシアの多目的実験モジュール「ナウカ」が結合される予定で、今後も地球低軌道の恒久的な拠点として活躍が続くことになります。

国際宇宙ステーションに係留中の宇宙船「クルー・ドラゴン」(中央右)。中央下に見えているのは宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機
国際宇宙ステーションに係留中の宇宙船「クルー・ドラゴン」(中央右)。中央下に見えているのは宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(Credit: NASA)

 

関連:ISSロシア区画のサービスモジュール「ズヴェズダ」打ち上げから20年

Image Credit: NASA/Roscosmos
Source: NASA
文/松村武宏

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