ベンヌの表面に向けて降下するオシリス・レックスを描いた想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

NASAは日本時間10月21日、同日朝に実施された小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」による小惑星ベンヌからのサンプル採取作業が予定通り行われたことを発表しました。今後は採取されたサンプルの量を測定し、追加のサンプル採取を行うか否かが判断されます。

■得られたサンプルが少ない場合は別の地点で再挑戦も

オシリス・レックスによるサンプル採取は「TAG」(タグ、Touch-And-Goの略)と呼ばれています。日本時間同日2時50分、オシリス・レックスはサンプル採取装置「TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)」を展開しつつゆっくりと降下を開始。予想以上に岩だらけだったベンヌの表面においてサンプルを採取できそうな地点のひとつ、2019年12月にメインの採取地点として選ばれた北半球の「ナイチンゲール」においてTAGを実施しました。

2020年8月に実施された2回目の降下リハーサル時にオシリス・レックスから撮影された画像。下から中央に向かって伸びているTAGSAMの向こうにベンヌの表面が見えている(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

地上とオシリス・レックスとの通信には20分近いタイムラグが生じているため、TAGは探査機によって自律的に行われました。NASAによると、オシリス・レックスから届いたリアリタイムデータはTAGSAMがベンヌの表面に正常に接触して地表の物質を巻き上げるための窒素ガスの噴射が行われたことや、スラスターを噴射してベンヌの表面から安全に上昇したことを示しているといい、TAGが予定通りに実行されたものとみられています。

この後は採取されたサンプルの量を確認する作業が控えています。TAG実施時に撮影された画像をもとに窒素ガスの噴射によって地表がどれほど乱されたのかが分析される他に、ベンヌに接触したTAGSAMの先端をカメラで撮影してサンプルが採取されたかどうかが判断されます。また、TAGSAMを展開した状態で探査機を回転させた際の慣性モーメントをTAG実施前の値と比較することで、採取されたサンプルの質量が測定されます。

2018年11月にオシリス・レックスのカメラ「SamCam」で撮影されたTAGSAMの先端部分(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

オシリス・レックスのミッションでは、ベンヌの表面から少なくとも60グラムのサンプルを持ち帰ることが計画されています。今回実施されたTAGで十分な量のサンプルが採取できたと判断された場合、現地時間10月30日にサンプルが回収カプセルに収納されます。もしも十分な量のサンプルが採取できなかったと判断された場合には、ベンヌの赤道付近にあるバックアップの採取地点「オスプレイ」における2回目のTAGが2021年1月12日に行われます。

「10年以上に渡る計画の後にサンプル採取の試みに成功したことで、チームはとても喜んでいます」と語るオシリス・レックス主任研究員のDante Lauretta氏は「採取されたサンプルの量を測定するのが楽しみです」とコメントしています。オシリス・レックスは2021年にベンヌを離れ、2023年9月24日に地球へ帰還する予定です。

▲TAGSAMの展開、サンプルの採取、回収カプセルへの収納を再現した動画▲
(Credit: NASA/Goddard)

 

Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona
Source: NASA
文/松村武宏

 オススメ関連記事