アメリカの「アンタレス」ロケットが現地時間10月2日、NASA(アメリカ航空宇宙局)のワロップス飛行施設から打ち上げられました。ロケットには「シグナス補給船」運用14号機が搭載されており、ISS(国際宇宙ステーション)に物資や科学機器を輸送します。打ち上げは現地時間9月29日に予定されていましたが、天候や地上系システムのトラブルにより延期されていました。
シグナス補給船には宇宙飛行士の生活物資だけではなく、多くの科学機器や実験機器などが搭載されています。中でも注目が集まっている搭載品は2つです。
1、ISSで使用される「新型トイレ」
NASAは長期の有人飛行ミッションで使用される新たなトイレを開発しました。このトイレは、現在使用されているトイレに比べて65%小さく、40%軽く設計されました。また、10月31日に打ち上げが予定されている日本の野口聡一宇宙飛行士もISSで使用する予定です。
新型トイレは、今後計画されている月やさらに遠い火星への飛行に向けて開発が進められました。NASAは2024年までに再び人類を月面着陸させる「アルテミス計画」に向けた準備を進めています。この計画では男性だけでなく、史上初めての女性の月面着陸を行う予定です。そのためトイレは女性にとっても使用しやすいデザインとなりました。今回ISSで使用された後、アルテミス計画で運用される「オリオン宇宙船」に設置される見込みです。
2、美容液の宣伝用写真を撮影
化粧品メーカー「エスティーローダー」の美容液製品「アドバンストナイトリペア」10本が搭載されました。NASAによると、地球を背景にして製品の写真を撮影します。ISSにある地球を展望できるユニット「キューボラ」で行われ、写真は製品の宣伝に利用されるとのことです。
この他にも、がんの治療に関する研究装置や宇宙での植物栽培装置、VRカメラなど多様な研究分野の機器が搭載されています。
また、シグナス宇宙船には打ち上げ毎に名前が付けられています。14号機には、アメリカの宇宙飛行士カルパナ・チャウラさんに敬意を払い彼女の名前が付けられました。カルパナ・チャウラさんは、インド出身でアメリカ国籍の宇宙飛行士として知られ、2003年スペースシャトル・コロンビア号に搭乗。しかし、地球帰還時に発生した空中分解事故で命を落としました。
なお、シグナス宇宙船は現地時間10月5日、ISSに到着し、ロボットアームでドッキングされる予定です。
Credit: NASA
Source: NASA、Space News
文/出口隼詩
最終更新日:2020/10/04