ねじのロケットのイメージ図(Credit: IST)

インターステラテクノロジズ(IST)代表取締役の稲川貴大氏は7月26日、同日打ち上げ予定だった観測ロケット「ねじのロケット」(MOMO7号機)の打ち上げ延期に関するオンライン記者会見を行いました。

■点火器着火のタイミングは正常だったが温度が低く、エンジン点火直前に自動停止

今回の「ねじのロケット」の打ち上げは当初7月25日に予定されていましたが、天候条件などの理由により翌26日へ延期されていました。稲川氏によると、16時30分の打ち上げに向けてシーケンスが進められていたものの、エンジンに2つ取り付けられている「点火器」のうち片方の温度が基準値を下回っていたため自動停止(アボート)に至ったとされています。

MOMOのエンジンに採用されているハイブリッド点火器は筒状に成形されたロウ(ロウソクのロウ)のなかに酸素(気体)を通す構造で、筒内の点火玉に電圧を加えるとロウが燃えて燃焼室内に炎が出て、燃焼室に送り込まれた推進剤(エタノールと液体酸素)が着火される仕組みです。エンジンに点火するためには2つの点火器がどちらも正常に作動する必要があるものの、今回は片方の点火器の温度が推進剤の着火に必要とされる基準の温度に届かず、0.2秒前というエンジン点火直前のタイミングで自動停止されています。

エンジン上部に取り付けられている点火器の位置を示したスライド。インターステラテクノロジズのオンライン記者会見より(Credit: IST)

ねじのロケットの打ち上げは一週間前の7月19日にも試みられていましたが、今回と同様に片方の点火器の温度が基準の温度を下回ったために、やはりエンジン点火の0.2秒前に自動停止しています。前回の自動停止については点火器に送り込まれる酸素の流量を調整する「オリフィス」という小さな穴が開けられた部品に氷などの異物が付着したことで点火のタイミングが遅れた可能性が推定されており、今回の打ち上げは点火器などの部品の交換に加えて配管系統の断熱対策などが施されていたといいます。

稲川氏によると、前回は片方の点火器を着火するタイミングが遅れたものの、点火器の最終的な温度は2つとも同程度に達していたといいます。いっぽう今回は点火器を着火するタイミングは2つとも正常だったものの、片方の点火器の温度が低かったことで、結果的に前回と同じタイミングでの自動停止となっています。

前回(7月19日、左)と今回(7月26日、右)の点火器の温度上昇を示した図。前回は片方の点火器に着火するタイミングの遅れ、今回は片方の点火器の温度上昇不足により、結果としてどちらも0.2秒前という同じタイミングでの自動停止に至った。インターステラテクノロジズのオンライン記者会見より(Credit: IST)

今回の自動停止の原因としては何らかの物理的な理由(前回同様に異物の混入など)により点火器がうまく燃焼しなかったか、あるいは点火器内の温度を計測するセンサーに問題があった可能性が推定されるといいますが、詳細な原因の究明と対策の実施は今後の課題となります。また、次回の打ち上げ日は関係各所と調整の上で改めてアナウンスするとされています。

 

関連:「ねじのロケット」打ち上げ自動停止の原因は”点火器の温度上昇遅れ”だった(2020年7月20日)

Image Credit: インターステラテクノロジズ
Source: インターステラテクノロジズ(YouTube)
文/松村武宏

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