「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の打ち上げを描いた想像図(Credit: ESA – D. Ducros)

NASAは7月17日、来年2021年3月に予定されていた次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の打ち上げ予定日が2021年10月31日に延期されたことを発表しました。延期の理由として技術的な問題および新型コロナウイルス感染症の影響があげられています。

■さらなる予算超過は回避、現在は打ち上げ前の各種試験を継続中

ジェイムズ・ウェッブの打ち上げ予定日はこれまでにも何度か延期が繰り返されてきました。発表によると昨年秋の時点ですでにスケジュールの余裕がなくなりつつあり、今年の4月にはスケジュールの再検討が行われる予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大にともない延期されていたといいます。

今週完了した再検討の結果、安全対策の強化、現場のスタッフ削減、シフト体制の乱れ、その他の技術的な問題を理由に打ち上げ予定日の延期が決定しています。なお、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発費用はすでに88億ドルに達しているものの、既存の予算を活用することで、これ以上の費用増加は抑えられるとされています。

すでに組み立てが完了しているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はノースロップ・グラマンによって各種試験が進められており、今年の8月には音響および振動試験が始まる予定とされています。ジェイムズ・ウェッブのプログラムディレクターGregory Robinson氏は「影響や課題は残るものの、この1年間の実績と良好なスケジュールパフォーマンスのおかげで重大なリスクは退けられました」と語ります。

「アリアン5」ロケットで打ち上げられるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、試験をクリアした後に来年の早い段階で南米のギアナ宇宙センターへと運ばれます。打ち上げ後は地球と太陽の重力が釣り合うラグランジュ点のひとつ「L2」(地球から見ると太陽の反対側に位置する)へと移動し、初代の銀河や太陽系外惑星の大気の観測などを開始する予定です。プロジェクトサイエンティストのEric Smith氏は「ハッブルやスピッツァーの後継として設計されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、赤外線の観測を通して宇宙のさまざまな時代を探索します」とコメントしています。

ノースロップ・グラマンのクリーンルームで撮影されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA/Chris Gunn)

 

Image Credit: NASA/Chris Gunn
Source: NASA / ESA
文/松村武宏

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