中国・甘粛省の酒泉衛星発射センターから現地時間2020年7月10日12時17分に打ち上げられた「快舟十一号」ロケット1号機は、機体トラブルのため打ち上げに失敗しました。新華社通信が伝えています。
搭載されていた衛星は「吉林一号高分02E(Bilibili Video Satellite)」と「微厘空間一号系統S2(CentiSpace-1 S2)」の2機でしたが、ともに失われました。現在、関係機関によって打ち上げ失敗の原因究明が行われています。
快舟十一号は中国航天科工集団が開発した新型の固体燃料ロケットで、最大直径2.2m、離陸重量78t。高度700kmの太陽同期軌道に1tの打ち上げ能力を持ち、全段固体のロケットとしては中国で最大のものとなります。
打ち上げ回数が多いこともあり、今年の中国におけるロケットの打ち上げ失敗は、3月16日の「長征7A」、4月9日の「長征3B」に続き、今回の快舟十一号が3回目となります。失敗続きにも見えますが、新型ロケットの初飛行は失敗確率が高いため、安定した打ち上げを行っている機種とは分けて考える必要があります。その一方で、中国は5月5日に次世代宇宙船を搭載した大型ロケット「長征5B」の打ち上げに成功しており、今月下旬には火星探査機「天問1号」の打ち上げも予定されています。
なお、快舟十一号に搭載されていた吉林一号GF-02Eは「Bilibili Video Satellite」とも呼ばれており、同衛星によって撮影された映像をもとに中国の動画共有サイト「ビリビリ動画」が科学コンテンツを制作する計画だったことが、新華社によって6月1日に伝えられています。
Image Credit: CCTV/CASIC/SciNews
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文/金木利憲