欧州宇宙機関(ESA)が2019年12月に打ち上げた宇宙望遠鏡「CHEOPS(ケオプス)」は、すでに知られている太陽系外惑星の観測を主な任務としています。本格的な科学観測に先立って実施されたテスト運用において、CHEOPSは期待以上の性能を発揮したようです。

■系外惑星の直径を地上からの観測よりも5倍正確に測定

恒星「HD 93396」(奥)を周回する系外惑星「KELT-11b」(右手前)を描いた想像図(Credit: ESA)

系外惑星の性質を知る上では、平均密度の算出につながる直径質量の値が重要です。平均密度がわかれば、たとえば地球と海王星の中間のサイズを持つ系外惑星がどちらに似ているのかを判別できるようになります。

CHEOPSは、系外惑星が手前を横切る「トランジット」を起こしたときの主星の明るさの変化を今まで以上に精密に観測することで、すでに4000個以上が見つかっている系外惑星のより正確な直径を求めることを主な任務としています。得られた直径の値からより正確な平均密度を算出することができれば、研究者が系外惑星の性質を探る上での大きな助けとなります。

今年の1月から始まったテスト運用において、CHEOPSはある程度性質が知られている2つの系外惑星をターゲットに観測を行いました。そのうちの1つ「KELT-11b」は約320光年先にある主星「HD 93396」に近い軌道を公転している系外惑星で、質量は木星の2割程度に留まるものの、主星の熱によって表面温度が摂氏1400度ほどになるまで加熱され、直径は木星の1.3倍程度にまで膨張しているとみられています。

CHEOPSがKELT-11bによるトランジットを観測した結果、その直径は18万1600km、木星の約1.27倍と算出されました(不確かさは4300km未満)。ESAの発表によると、これは地上の望遠鏡による観測と比べて5倍正確な値とされています。また、観測を行っている間のCHEOPSの姿勢がとても安定した状態で保たれていることもテスト運用中に確認されました。

テスト運用を終えたCHEOPSは、今月下旬からいよいよ本格的な科学観測を開始します。ESAでは主な観測対象として「かに座55番星e(55 Cancri e)」「GJ 436b」を挙げています。なお、CHEOPSの運用体制は早い段階で自動化が進められており、新型コロナウイルス(COVID-19)によるCHEOPSの運用への影響は最小限に抑えられているとしています。

観測を行うCHEOPSを描いた想像図(Credit: ESA / ATG medialab)

 

関連:宇宙望遠鏡CHEOPSが初観測。あえて”ぼやけた星”を撮影した意味とは

Image Credit: ESA
Source: ESA
文/松村武宏

 オススメ関連記事