昨年12月に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「CHEOPS(ケオプス)」。打ち上げ成功後に機器のチェックが進められていましたが、いよいよ望遠鏡を保護していたカバーが開放されました。太陽系外惑星の本質に迫るCHEOPSの観測開始に向けて、着々と準備が進められています。

■開けたら二度と閉められない、一度きりのカバー開放

観測を行うCHEOPSの想像図。正面に見える望遠鏡の開口部左側にあるのが開放されたカバー(Credit: ESA / ATG medialab)

今回開放されたのは、CHEOPSに搭載されている口径30cmの望遠鏡にかけられていたカバーです。カメラでいうところのレンズキャップに相当するこのカバーはCHEOPSの望遠鏡をホコリや太陽光などから保護するための重要な構成要素で、軌道上でのチェックが進むまで閉じられたままになっていました。

カバーは打ち上げから1か月半ほどが経った1月28日に開放されました。カバーを留めていたチタン製のボルトは開放時に破壊され、カバー自体も開放位置に固定されるので、再度開閉操作を行うことはできません。カバーの開放に成功したことで、CHEOPSのミッションは観測開始に向けて一つの大きな区切りを迎えたことになります。

組み立て中のCHEOPS。金色の部分が閉じた状態のカバーで、組み立てから打ち上げにかけて望遠鏡を保護していた(Credit: ESA – S. Corvaja)

2019年12月18日に打ち上げられたCHEOPSは、すでに見つかっている系外惑星が恒星の手前を横切る「トランジット」現象を詳細に観測することで、系外惑星の直径を従来以上の精度で測定することを主な目的としています。

質量が判明している系外惑星の直径を測定できれば平均密度を求めることが可能となり、これまではっきりしなかった系外惑星の性質を知ることができます。たとえば、系外惑星のなかには地球と海王星の中間にあたる質量(地球の1~20倍程度)を持つものが見つかっていますが、これらが地球の性質に近い高密度な岩石質の惑星(スーパー・アース)か、それとも海王星の性質に近い低密度で巨大な氷惑星(サブ・ネプチューン)なのかは、平均密度が割り出せれば判別できるようになります。

また、CHEOPSでは、来年2021年に打ち上げが予定されているNASAの「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が建設を進めている「欧州超大型望遠鏡(E-ELT)」による観測候補を絞り込むことも予定されています。人類の新たな「目」となるCHEOPSの観測によって、系外惑星に関する新たな知見がもたらされることが期待されています。

 

Image Credit: ESA
Source: ESA
文/松村武宏

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