地球から遠く離れて活動する探査機を支える重要な設備のひとつに、地上に建設されている通信アンテナが挙げられます。現在JAXA(宇宙航空研究開発機構)が建設を進めている新しいアンテナが、小惑星探査機「はやぶさ2」からの電波を捉えることに成功しました。

■初代はやぶさでも使われたX帯の電波を受信

はやぶさ2の電波を捉えることに成功した美笹深宇宙探査用地上局の54mアンテナ(Credit: JAXA)

はやぶさ2からの電波を捉えたのは、JAXAが長野県佐久市で建設を進めている「美笹(みささ)深宇宙探査用地上局」(以下「美笹局」)です。12月16日の早朝、はやぶさ2から送信されたX帯(8GHz帯)の電波を、美笹局の直径54mのアンテナによって受信することに成功しました。

地球を遠く離れた探査機との通信には、1984年に同市の別の場所に建設された「臼田宇宙空間観測所」64mアンテナが用いられてきました。このアンテナは初代「はやぶさ」をはじめ、地球への帰路についたはやぶさ2、それに海外の探査機との通信も担っていますが、すでに設計上の寿命を超えているため、新たな設備として美笹局を建設することが決まりました。

美笹局の54mアンテナは、初代はやぶさでも使われたX帯の電波だけでなく、Ka帯(32GHz帯)の電波を用いた通信にも対応しています。Ka帯にはX帯よりも多くの情報をやりとりできるメリットがあり、はやぶさ2でも採用されていますが、日本国内でKa帯に対応する地上のアンテナは建設中の美笹局が初めてとなるため、現在Ka帯による通信は海外のアンテナに頼らざるをえない状況となっています。

美笹局の本格的な運用開始は2021年4月が予定されています。はやぶさ2が地球に帰ってくる予定の2020年末には間に合わない見込みですが、はやぶさ2がサンプル回収用のカプセルを分離したあとの延長ミッションにおいて、国内の施設を用いた初のKa帯による通信が実現するかもしれません。

はやぶさ2各部の名称。探査機上面に2つある円形のアンテナのうち、向かって左がX帯用、右がKa帯用(Credit: JAXA)

 

Image Credit: JAXA
Source: JAXA
文/松村武宏

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