月面探査計画「アルテミス」による2024年の有人月面探査再開を目指して「オリオン」宇宙船や大型ロケット「SLS(Space Launch System)」の開発を進めているNASAは10月16日、アルテミス計画で使用される2種類の宇宙服を公開しました。
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■月面での活動に使用される「xEMU」
公開された宇宙服のうち1つは、月面に降り立った宇宙飛行士が屋外で活動をするときに着用する「xEMU(Exploration Extravehicular Mobility Unit)」です。
xEMUはアポロ計画で使用された宇宙服や、国際宇宙ステーション(ISS)で現在使用されている宇宙服をもとに開発されました。ほぼ白一色だったアポロ計画当時の宇宙服とは違い、xEMUでは白だけでなく青や赤も配色されているのが印象的です。
■オリオン船内で着用される通称「オリオンスーツ」
もう1つは、オリオン宇宙船の船内で着用される「OCSS(Orion Crew Survival System)」。NASAのプレスリリースでは「Orion suit(オリオンスーツ)」とも呼ばれています。
オリオンスーツは打ち上げ時や大気圏再突入時、宇宙ステーション「月軌道プラットフォームゲートウェイ(LOP-G)」に接近・離脱する時や緊急事態が発生した時など、ミッションのなかでもリスクの高い局面で着用されます。
鮮やかなオレンジ色はスペースシャトルで使用されていたスーツを想起させますが、実際にオリオンスーツはシャトルミッションのスーツをもとに改良が加えられており、腕や脚などの可動範囲が改善されていたり、ヘルメットの耐久性や機能が強化されたりしています。
また、シャトルミッションのスーツは既製品からサイズが合うものを選んで着用していましたが、オリオンスーツは宇宙飛行士ひとりひとりに合わせたオーダーメイドとなります。
宇宙服のデザインが固まったことでよりイメージしやすくなったNASAのアルテミス計画。来年2020年には、無人で行われるオリオン宇宙船の実地テスト「アルテミス1」ミッションが予定されています。
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Image: NASA/Joel Kowsky
Source: NASA
文/松村武宏