ネコ用人工血液が開発 「きぼう」モジュールも結晶化で貢献


 
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2018年3月20日、中央大学理工学部の小松晃之教授の研究チームネコ用人工血液の開発に成功したと発表しました。また、JAXAも国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」モジュールでのタンパク質結晶化実験機会の提供と結晶化、構造解析を担当しています。
 
これまで日本では動物用血液の備蓄システムが用意されておらず、動物治療の際の輸血において大きな課題を抱えていました。しかしもし人工血液を病院内に常備することができれば、ドナー探しや血液型適合性試験も不要となり、緊急時の対応が大いに改善されることになります。
 
そして小松教授のチームは遺伝子組換えネコ血清アルブミンを産生し、その立体構造を解明。そしてヘモグロビンを包み込んだクラスターを合成し、ネコ用人工酸素運搬体として働くことを突き止めます。これにより、輸血液の代わりに生体へ投与できる人工血液が合成できたことになるそうです。
 
研究発表によれば、このネコ用人工血液は赤血球代替物や、心不全・脳梗塞・呼吸不全などの治療用、体外循環回路の補填液、癌治療用などの応用が考えられるとしています。
 
Image Credit: 中央大-JAXA共同
■ネコ用人工血液を開発=動物医療に貢献、市場は世界規模=
http://www.jaxa.jp/press/2018/03/20180320_albumin_j.html
(文/塚本直樹)