これでもマシな方だったのでしょうか。トランプ米大統領を迎えた米国政府は2018年度の予算案を発表し、それによればNASAは全体で0.8%の予算カットが予定されています。またこれによりNASAの教育プログラム、そして小惑星サンプルリターン計画「ARM」のキャンセルなどの影響が予測されているのです。
まず「ARM計画(Asteroid Redirect Mission)」ですが、これは探査機によって小惑星から岩石を採取し、月のそばに移動させた後に宇宙飛行士によってサンプルを採取し、地球へと持ち帰ろうというもの。もともと計画はオバマ政権のもとでスタートし、将来的な火星探査に役立つとも謳われていました。しかし、その科学的な価値には議論もあったようです。
さらに、先行きが不透明になったプロジェクトもあります。NASAは「木星衛星エウロパへの着陸船ミッション」を構想していたのですが、こちらは着陸船(上画像)に対して予算がつかなくなる予定です。ただしこれによってプロジェクトが中止されたわけではなく、今後の動きによっては計画が復活する可能性もあります。
軍需産業への予算増加とは対照的な、科学分野での予算カット。NASAはまだその予算減を免れている方だとはいえ、科学者のため息が聞こえてきそうです。
Image Credit NASA
■Trump’s biggest budget cuts to NASA: ranked
http://www.theverge.com/2017/3/17/14947444/trump-budget-plan-cuts-nasa-asteroid-mission-europa
■White House budget proposal targets ARM, Earth science missions, education
http://spacenews.com/white-house-budget-proposal-targets-arm-earth-science-missions-education/
■小惑星サンプルリターン計画(アーム計画)、NASAが2018会計年度で予算を要求しない方針
http://moonstation.jp/blog/asteroidexp/asteroidinitiative/nasa-will-not-request-budget-for-arm-for-fiscal-year-2018
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