NASAが現在計画している、巨大ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」。月や火星までもの有人探査を視野に入れた同計画ですが、NASAはその初打ち上げに宇宙飛行士を搭乗させることを考慮しているのです。
現在、SLSの初打ち上げは2018年の秋を予定しています。この「EM-1」ミッションは当初、無人の宇宙船「オリオン」を月周辺に打ち上げるというものでした。しかしNASAは、このEM-1の有人ミッションの可能性について調査を開始してます。また無人ミッションを有人ミッションに変更することで、SLSの初打ち上げは当初より遅れる可能性があるのです。
現時点では、EM-1は2018年の9月30日にケネディ宇宙センターからの打ち上げが予定されてます。そして搭載された無人のオリオン宇宙船は月軌道の投入され、3週間の後に地球に帰還する予定です。また次回の宇宙飛行士が搭乗する「EM-2」ミッションは早くて2021年に行われる予定でした。
さらに、SLSの構成に関する問題もあります。最初のEM-1では最も小さな70トンの打ち上げ能力がある「Block 1」が予定。そしてEM-2で利用される「Black 1B」はより大型で、パワフルなロケット第2段の「Exploration Upper Stage(EUS)」が採用されます。しかしこのEUSがまだ製造されておらず、EM-1に間に合うのかがわからないのです。
もちろん、宇宙飛行士を搭乗させるとなれば多大な予算計画の変更、さらには搭乗員のリクス低減などに大きな労力を払う必要があります。2030年代に火星の有人探査を計画しているNASAですが、はたしてその道程はどのようなものになるのでしょうか。
Image Credit: NASA
■NASA is thinking about putting astronauts on the first flight of its future giant rocket
http://www.theverge.com/2017/2/15/14623572/nasa-space-launch-system-crewed-sls-flight-10-investigation
■NASA to study launching astronauts on first SLS mission
http://spacenews.com/nasa-to-study-launching-astronauts-on-first-sls-mission/
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