現在NASAとの契約の元、宇宙飛行士の輸送のために宇宙船「ドラゴン 2(有人版ドラゴン)」を開発しているスペースX。その初となる有人飛行は当初2017年を予定していましたが、今回正式に有人飛行ミッションが2018年の5月へと延期されることがNASAによって発表されました。なお、2017年11月には無人の飛行ミッションが行われます。
今回の打ち上げの延期については、9月の「ファルコン9」ロケットの爆発が影響しているのでは…など、いろいろな推測があります。またスペースXは海外メディア向けに「この変更は事故調査の完了手続きによるものだ」と語っており、その影響がうかがえます。
なおNASAによる商業クルー輸送機の開発 (CCDev)ではスペースXだけでなく、ボーイングも計画に参加しています。ボーイングはカプセル型有人宇宙船「CST-100 スターライナー」を開発しているのですが、こちらも初の有人飛行が2018年の8月(一説には12月)以降に延期されるなど、両者とも計画は思うように進行していないようです。
なお、現在NASAは宇宙飛行士の打ち上げをロシアのソユーズロケットに依頼しています。これは宇宙飛行士の一座席が8100万ドル(約93億円)と非常に高価なだけでなく、自由な宇宙開発計画の妨げとなります。またソユーズロケットは2週間前にプログレス補給船の打ち上げに失敗するなど、いつでも安心して利用できるわけではありません。
現在スペースXはファルコン9ロケットへの燃料注入方法や宇宙飛行士の搭乗タイミングなど、安全性を高めるためにNASAと協議しています。またドラゴン宇宙船は認証テストやパラシュートテストなどを通過しており、フライトモデルも製造中です。民間企業による宇宙飛行士の輸送には多くのハードルがありますが、ぜひそれを乗り越えて安全な打ち上げまでたどり着いてほしいものです。
Image Credit: Space X
■SpaceX officially delays first crewed flight of its Dragon capsule for NASA
http://www.theverge.com/2016/12/12/13928844/spacex-crew-dragon-delay-nasa-commercial-crew-program-2018
■SpaceX Has Delayed First Manned NASA Launch to 2018 from 2017
http://www.wsj.com/articles/spacex-has-delayed-first-manned-nasa-launch-to-2018-from-2017-1481581294
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