将来、ウェブサイトで自分が必要なロケットを選択し、衛星を打ち上げる……そんな未来がくるのかもしれません。デルタ IVやアトラスVなどの打ち上げ実績がある宇宙開発企業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(以下、ULA)は、ロケットの打ち上げ価格のシミュレーションサイトを公開しました。誰でも数クリックで衛星の打ち上げ費用がわかる、すぐれものです。
このサイト「RocketBuilder.com」は、人工衛星の打ち上げを目指す機関向けに「フォードやシボレーの車を選ぶように」ロケットの打ち上げ価格を提供するために公開されました。ただし、その価格は1億ドル(約110億円)以上とビッグなもの。さらに打ち上げプランを保存し、ULAとの契約に向けての送信も可能です。まるでAmazonでの買い物のようですね。
サイトの使い方は実に簡単。まず打ち上げ時期を選び、次に衛星の投入軌道(静止トランスファ軌道か、地球低軌道か…)などを選択。そしてペイロード(衛星)の重量とサイズを決定し、最後に追加サービスを選びます。するとサクッと総支払額が表示されるのです。「ロケット打ち上げ価格の透明性を提供するために公開した」とULAが説明するだけあって、車のオプションを選ぶように簡単にシミュレーションできます。
さらに打ち上げ価格の試算の下には「ULA added value」という項目が表示されます。これはULAのロケットの信頼性、スケジュールの確実性、そして衛星の投入能力を考えれば、「実はこれくらいオトクなんですよ〜」という目安。なんだか、頑張る営業マンみたいです。確かにULAは現時点で113回のロケットの打ち上げに成功しており、その信頼性にはひと目置くべきでしょう。
なお、今回のシミュレーションにはデルタIVなどのロケットは登場しません。これは、同ロケットが主に政府向けの打ち上げに利用されているからです。ただしULAは現在再利用可能な新型ロケット「ヴァルカン」を開発しており、こちらは2019年から打ち上げが始まる予定です。そして、来年にはこのサイトもヴァルカンの打ち上げ価格の試算が可能になることでしょう。
もし確実な衛星の打ち上げをお考えなら、ULAのサイトで一度試算をしてみてはいかがでしょう?
Image Credit: ULA
■United Launch Alliance unveils website that lets you price out a rocket ‘like building a car’
http://www.theverge.com/2016/11/30/13792816/united-launch-alliance-website-rocket-builder-atlas-v
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