火星開拓など、華々しい計画を次々と打ち上げるイーロン・マスク氏が率いるスペースX社。しかしその本業ともなるロケットの打ち上げは、9月の「ファルコン9」の爆発事故以来止まっています。そんな中、同社は事故調査の中で「ヘリウムの注入過程」に事故原因があったこと、そして年内のロケットの打ち上げ再開を目指すことを明かしました。
地上での点火試験となる「スタティック・ファイア・テスト」の最中に起きたこの事故ですが、その原因がロケット上段の液体酸素タンクに取り付けられた超低温ヘリウムシステムにあることは以前より発表されていました。そしてテキサスにて行われたテストにて、COPV(composite overwrapped pressure vessel)の破損をヘリウムの注入過程の温度や圧力などの条件次第で再現できたというのです。
なお、これは事故原因を全て解き明かしたというわけではなく、今後も詳細の調査が行われます。その上でスペースXはヘリウムの注入過程を見直し、テキサスのマクレガー施設にてロケットのテストを近日に再開する予定です。そして、ロケットの打ち上げオペレーションの2016年中の再開を目指しているのです。
イーロン・マスク氏に言わせれば、「14年間で最も難解で複雑な事故だった」と言わしめた今回のトラブル。93ミリセカンドという非常に短いタイミングで起きたこの事故では、一時は「銃撃にあったのでは?」という噂も流れるほどでした。
そしてこのように事故原因がかなり正確に特定できたことで、再打上に向けてようやく道筋が見えてきたというところでしょうか。同社はかなり衛星打ち上げの契約をためていますが、まずは次の一機を確実に打ち上げることが顧客から、そして投資家や世間からも求められてそうです。
Image Credit: Space X
■SpaceX says helium loading issue caused accident, seeks 2016 return to flight
http://arstechnica.com/science/2016/10/spacex-says-it-remains-on-track-to-return-to-flight-by-years-end/
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