一体どんな展開があるというのでしょうか。日本経済新聞によると、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業のスペースX社は、東レから炭素繊維を数年に渡り2000億円超規模で調達することで基本合意したと伝えています。
一方海外サイトのars TechnicaはスペースXの代表からの言葉として、「スペースXはファルコンロケットやドラゴン宇宙船の炭素素材について東レを含む複数企業と協議しているが、まだ公開している合意情報はない」と報じています。
さてこの炭素素材(カーボンファイバー)ですが、その特徴として「強くて軽量、さらに耐熱性にも優れる」点があげられます。一方で製造コストが高く、加工が難しいというデメリットも…。そして炭素素材を強化材として利用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)はレーシングカーや航空機、あるいはロケットにも利用されています。
現在スペースXは再利用可能なファルコン9ロケットを運用しており、さらに今後は火星探査を目指す「ファルコンヘビー」ロケット、火星探査を目指す宇宙船「レッド・ドラゴン」そして100人規模を火星に輸送できる宇宙飛行システム「マーズ・コロニアル・トランスポーター(MCT)」を計画しています。これらの輸送手段で炭素素材の利用率を高めれば、軽量化による使用燃料の減少やペイロードの増加などの効率化が見込めそうです。
東レは炭素繊維「トレカ」を取り扱っており、さらに炭素繊維で世界シェア1位の企業です。スペースXは現時点では合意を認めていませんが、両社が宇宙開発用の炭素繊維の供給で契約を結んだとしても何ら不思議ではありません。今後、日本企業の基礎技術が宇宙開発に役立つかもと考えると楽しみですね。
Image Credit: Space X
■東レ、宇宙船に炭素繊維 スペースXと基本合意
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ16HI4_W6A810C1MM8000/
■[Updated] SpaceX not ready to confirm large purchase of carbon fibers
http://arstechnica.com/science/2016/08/spacex-reportedly-signs-multibillion-deal-for-carbon-fiber-composites/