
5センチ以上の大きな物でも2万個以上存在するとされる、地球の周りに存在する「スペースデブリ」。大きなものが宇宙船に衝突すれば大きな被害をもたらすと予想されていますが、今回ISS(国際宇宙ステーション)に衝突したのは、数マイクロメーター(0.001ミリメートル)ほどの極小さなスペースデブリとみられています。
今回の写真は、現在ISSに滞在しているイギリス出身のティム・ピーク宇宙飛行士によって撮影されました。撮影場所はキューポラモジュールのガラス窓です。衝突した物体は不明ですが、おそらく「塗料の破片か金属片ではないか」と予測されています。
それではこのようなスペースデブリの衝突が宇宙船にトラブルを生じさせるか…についてですが、この程度のサイズではなんともありません。ISSのガラスは腐食に強い石英ガラスと耐熱・硬度に優れたホウケイ酸ガラスから作られており、ある程度の衝撃に耐えることができます。ただし1センチ以上のスペースデブリは船体にダメージを、10センチ以上のスペースデブリは船体に致命的なダメージを与える可能性があります。
そこで、ISSでは1センチ以下のスペースデブリは交換可能なバンパーで防ぎ、10センチ以上のスペースデブリはISSの軌道を変更することで対処しています。また1〜10cmのスペースデブリが当たった場合は乗員が他のモジュールに退避し、後から修理することも可能です。
このように全てのスペースデブリが宇宙開発に大きな影響を与えるわけではありませんが、やはりスペースデブリの数を増やさないに越したことはありません。今後は軌道上を汚さない「クリーン」な宇宙開発が求められそうです。
Image Credit: ESA, NASA
■This is what happens when a tiny piece of flying space debris hits the ISS
http://www.theverge.com/2016/5/12/11664668/iss-window-chip-space-debris-tim-peake
■宇宙のゴミ(スペースデブリ)がISSに衝突するおそれはないのでしょうか
http://iss.jaxa.jp/iss_faq/env/env_005.html