皆さん、「宇宙天気予報」って聞いたことはありますか? 普通の天気予報とはちがい、宇宙天気予報では太陽からの太陽風などを考慮して「本日の地磁気は静穏です/乱れます」などと予測します。そして、その宇宙天気予報やオーロラの発生に大きな影響をあたえる「磁気の爆発現象」を、NASAは初めて観測することに成功しました。
まず、磁場の世界には「磁気リコネクション」という現象があります。これは磁場のトポロジーが再配分され、運動エネルギーや熱エネルギーに変換されることを指します。これだけでは何が何やら…ですが、太陽風やオーロラの発生源になるとだけ覚えておけばOKです。そして今回、NASAの磁気圏観測衛星「MMS:Magnetospheric Multiscale Mission」により、磁気リコネクションを含む地球周辺の磁場の動きが明らかになったのです。
サウスウエスト研究所のJames Burch博士は、MMSによる観測は「電子を顕微鏡で観察するようなものだ」と語っています。Burch博士によると、これまでも磁気リコネクションの結果としての現象は観測されてきましたが、その原因はわかっていませんでした。
今回の研究により、今後は太陽フレアやコロナ質量放出、さらにはオーロラの出現についても予測が立てやすくなることが期待されています。さらに、核融合を利用した発電における磁場の閉じ込めでも何らかのヒントになる可能性があります。普段私たちは身の回りの磁場を意識することはほとんどありませんが、その磁場を理解し解明することで、宇宙の仕組みの理解にまた一歩近づくことができるようです。
Image Credit: NASA
■NASA spacecraft measure magnetic explosions that drive space weather
http://www.theverge.com/2016/5/12/11657752/nasa-spacecraft-magnetic-reconnection-explosion-space-weather
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