日韓の複数の報道機関によると、北朝鮮は3月18日午前5時55分ごろに日本に向けて「弾道ミサイル」を発射しました。ミサイルは平安南道のスクチョンから発射され、800キロメートル離れた日本海へと着弾しました。また6時17分頃にも別のミサイルらしき物体の打ち上げが観測されました。今回発射されたのは、おそらく北朝鮮の準中距離弾道ミサイル「ノドン」だと見られています。
ノドンは最大射程が1,300キロメートルの「準中距離弾道ミサイル」に分類されます。その射程は東京、名古屋、大阪などを含む日本の大部分をカバーし、防衛上の大きな脅威となっています。またノドンはパキスタンやイランにも輸出されたとみられています。エンジンには液体燃料を利用し、移動式発射台からの発射も可能です。
ノドンの元となったのはソビエト連邦が開発した「スカッドミサイル」で、さらにそのスカッドミサイルはドイツが第二次世界大戦でイギリスに対して使用した「V2ロケット」の技術が利用されています。北朝鮮は1981年にスカッドミサイルをエジプトから購入し、その後ノドンを完成。1993年には発射試験が行なわれました。
ノドンがもし日本にむけて発射された場合、10分前後で日本まで到達するものと予想されています。ただし、燃料の注入や人員、施設の稼働状況を人工衛星から確認することにより、それ以前に発射の兆候を感知できる場合もあります。また、弾頭には爆薬だけでなく「核や生物化学兵器」が搭載可能です。さらに、北朝鮮はノドンに搭載可能な核弾頭を開発できる技術力があるとの報道もあります。
今回のノドンの発射は、今月7日から始まった日韓合同軍事演習に反発して行なわれたものと見られています。現時点では今回のミサイル発射による被害は報告されておらず、また安倍首相は「アメリカや韓国などと連携して対応にあたり、厳重に抗議する」と述べています。
Image Credit: Chinanews.com
■北朝鮮、弾道ミサイル発射 中距離「ノドン」か
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H2G_Y6A310C1MM0000/
■「ノドン」発射 日本の防空識別圏に
http://mainichi.jp/articles/20160318/k00/00e/030/205000c
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