米国のスペースX社は3月5日8時35分(日本時間)、通信衛星「SES-9」を搭載した「ファルコン9」ロケットを、米フロリダ州ケープ・カナヴェラル空軍ステーションから打ち上げた。
ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約31分後に衛星を分離して、打ち上げは成功した。また、同社のイーロン・マスクCEOによると、当初予定していた軌道に入っていることを確認したという。
なお、打ち上げ後の第1段機体を船に着地させる試験も行われたが、日本時間9時30分現在、成否は不明である。
SES-9はオランダに本拠地を置く衛星通信会社SES社の通信衛星で、ボーイング社が製造した。東経108.2度の静止軌道で運用され、北東アジアや南アジア、インドネシアや、インド洋上の船などに対して通信サービスを提供する。打ち上げ時の質量は5330kgで、設計寿命は15年が予定されている。
今回打ち上げられたファルコン9は、「ファルコン9フル・スラスト」と呼ばれる能力向上型の機体で、推進剤の液体酸素とケロシンを通常よりさらに冷却し、密度を高めて搭載量を増やすことで、旧型機よりも打ち上げ能力を向上させている。反面、超低温の液体酸素の取り扱いは難しいという欠点があり、今回の打ち上げでも3回、この超低温推進剤が延期理由となっている。
また、前回に引き続き、打ち上げ後のロケットの第1段機体を海上の船に降ろし、回収する試験も行われた。打ち上げ時の生中継でロケットが船の近くまで降りてきたことは確認されたものの、最終的な成否は、日本時間9時30分現在、不明である。
ただ、今回は衛星が重く、ファルコン9フル・スラストの能力限界まで使い切って打ち上げる必要があったため、回収は難しいとみられており、スペースX社は自ら「成功する見込みはない」と明らかにしている。
スペースX社はロケットの低コスト化を狙い、打ち上げたロケットを回収し、再使用するための開発や試験を数年前から続けている。昨年末にはロケットを発射台に程近い陸上に着陸させることに成功しているが、それと並行し、ロケットを陸まで戻せない場合に、飛行経路の下にある洋上に浮かべた船の上に着地させて回収する試験も行っている。
船での回収は昨年1月と4月、そして今年1月にも行われているが、船の上空までに降りてくることはできたものの、甲板に激突、あるいは着地後に転倒するなどして機体が大きく破壊されており、完全な成功には至っていない。
Image Credit: SpaceX
■SES-9 MISSION | SpaceX
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