スペースX社は3月4日(日本時間5日)に、通信衛星「SES-9」を搭載した「ファルコン9」ロケットを打ち上げる。
打ち上げ時刻は米東部標準時3月4日18時35分(日本時間3月5日8時35分)に予定されている。打ち上げ可能な時間帯は20時6分(同10時06分)まで確保されている。
米空軍によると、天候は90%の確率で打ち上げに適した天候になるという。また翌日に延期となった場合も同じく、90%の確率で打ち上げ可能と予報されている。
今回のファルコン9の打ち上げは、これまでに機体や設備の問題や事情により3回、また天候により1回の、計4回延期されている。
今回の打ち上げは当初2月25日に予定されていたが、打ち上げ約30分前に打ち上げ成功を確実なものとするため、推進剤の液体酸素をより冷やすことを決定したとして延期された。翌26日に再挑戦されたが、今度は1分41秒前で、液体酸素をロケットに充填する作業で問題が発生したとして再度延期された。
2月29日にはロケットのエンジンに点火したものの、エンジンの推力が予定通り出ずに中断。その後、この日の打ち上げが延期された。同社のイーロン・マスクCEOによると、打ち上げに伴う立ち入り禁止海域にボートが侵入したことで打ち上げが遅れ、そのせいで液体酸素の温度が上がってしまったために、予定していたエンジン性能が出なかったと説明されている。
ファルコン9(ファルコン9フル・スラスト)は、推進剤の液体酸素とケロシンを通常よりさらに冷却し、密度を高めて搭載量を増やすことで、旧型機よりも打ち上げ能力を向上させている。反面、超低温の液体酸素の取り扱いは難しいという欠点があり、実際この3度の打ち上げ延期の原因は、すべてこの超低温の液体酸素に起因するものとなっている。
そして3月2日には、上空で風向や風速が大きく異なっているウインドシアという現象が起き、打ち上げが可能な許容限度を超えているために延期が決定された。
今回の打ち上げでは、通信衛星「SES-9」をスーパーシンクロナス・トランスファー軌道という、静止衛星の打ち上げで使われる、いくつかある軌道のうちのひとつに打ち上げる。
また、前回に引き続き、打ち上げ後のロケットの第1段機体を海上の船に降ろし、回収する試験も行われる。しかし、今回はロケットの飛行経路の問題で回収は難しいとみられており、スペースX社は自ら「成功する見込みはない」と明らかにしている。
スペースX社はロケットの低コスト化を狙い、打ち上げたロケットを回収し、再使用するための開発や試験を数年前から続けている。昨年末にはロケットを発射台に程近い陸上に着陸させることに成功しているが、それと並行し、ロケットを陸まで戻せない場合に、飛行経路の下にある洋上に浮かべた船の上に着地させて回収する試験も行っている。
船での回収は昨年1月と4月、そして今年1月にも行われているが、船の上空までに降りてくることはできたものの、甲板に激突、あるいは着地後に転倒するなどして機体が大きく破壊されており、完全な成功には至っていない。
Image Credit: SpaceX
■SES-9 MISSION | SpaceX
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