宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)は2月24日、金星探査機「あかつき」について、2月20日に一時通信不通に陥っていたと発表した。

ISASによると、この日の臼田局での運用において、テレメトリー(衛星の温度や電流などの状態を示す信号)が取れず、地上からの指令(コマンド)も効かない状態になったという。翌21日には、当初から仕込まれていたタイムラインコマンドにより、通信するためのアンテナが自動的に変更され、地球との通信が回復したとしている。

今回の通信不通の原因は、コマンド入力の際に、不適切な姿勢系制御パラメータを探査機に送ってしまったためで、「あかつき」の通信・観測機器の問題ではないとしている。また、探査機の状態が健全であることも確認しているという。

ISASでは対策として、運用方法を見直すと同時に、コマンド入力項目について、チェックする手順を整えたとしている。

「あかつき」は日本初の金星探査機として2010年5月21日に打ち上げられ、同年12月7日に金星を回る軌道への投入に挑んだが、故障により失敗。その5年後の2015年12月7日に再挑戦し、軌道投入に成功した。

現在は、観測機器の立ち上げや試験などが行われている段階にある。JAXAによると、今回の不具合による今後の観測への影響はなく、予定通り2016年4月ごろから本格的な観測を開始するとしている。

Image Credit: JAXA

■ISAS | 「あかつき」の状態について / トピックス
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