三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月11日の夜、翌12日夕方に打ち上げを予定していたH-IIAロケット30号機について、射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲の発生が予想されること、また打ち上げ作業に支障のある強風が予想されることから、打ち上げを延期する決定をしたと発表した。
新しい打ち上げ日は現時点では決まっていない。打ち上げ予備期間は2月13日(土)~2月29日(月)まで確保されており、今後の天候予報などから判断、決定されることになっている。
氷結層とは、雲の中で温度が0度から-20度になっている部分を指しており、雲の中に氷の粒の層があるような状態にある。その氷の粒が、対流によりぶつかり合うことで電気が発生し、対流が激しい場合は落雷へとつながることが知られている。もしそこをロケットが通過し、雷がロケットに落ちると、機体が破壊されたり、電子機器などに影響が出る可能性がある。
ASTRO-HはJAXAなどが開発した衛星で、X線を使って宇宙を観測することを目的としている。日本は1979年に打ち上げられた「はくちょう」に始まり、長年X線天文衛星を打ち上げ続けてきた。ASTRO-Hは2005年に打ち上げられ、2015年に運用を終了した「すざく」の後継機となる。
なお、ASTRO-Hの打ち上げ成功後には、「はくちょう」や「すざく」のような愛称が付けられることになっている。
またH-IIAロケット30号機では、打ち上げ能力の余裕を利用して、名古屋大学の「ChubuSat-2」、三菱重工の「ChubuSat-3」、九州工業大学の「鳳龍四号」の、合計3機の小型衛星も搭載されて打ち上げられる。
Image Credit: JAXA