米航空宇宙局(NASA)は1月13日、木星を目指して宇宙を航行している探査機「ジュノー」がこの日、太陽から史上最も遠く離れた太陽電池駆動の宇宙機になったと発表した。
これまでの最長記録は、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」が2012年10月に樹立した7.92億kmだった。ジュノーは13日に太陽からの距離が7.93億kmになり、この記録を破った。
ジュノーはNASAが開発した木星探査機で、2011年に打ち上げられた。これまで、木星より遠くの宇宙に飛んだ探査機は、すべて「プルトニウム238」などの放射性物質を使う発電装置を持っていた。これは物質が崩壊する際に出す熱を発電に利用するもので、太陽の光が弱くなる深宇宙や、夜が長く続く星を探査する際など、太陽電池による発電が難しい場所の探査機にとっては、ほぼ唯一の電源でもあった。
しかし米国では使えるプルトニウム238の量が限られていたことから、ジュノーでは木星以遠に飛ぶ探査機としては初めて太陽電池が採用された。ジュノーの太陽電池は3枚のパドルからなり、1枚あたり9.00 x 2.65mもの大きさをもち、120度ごとに装着されている。太陽電池のみの面積の合計は60平方mにもなる。これは地球圏であれば約14kWもの電力を生み出せるものの、木星においてはわずか約400Wになる。
ジュノーはこれまで順調に航行を続けており、木星への到着は今年7月4日に予定されている。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
■News | NASA's Juno Spacecraft Breaks Solar Power Distance Record
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=4818