米航空宇宙局(NASA)は2015年10月31日、探査機「カッシーニ」による、土星の衛星「エンケラドス」から噴き出している間欠泉の中の観測に成功し、探査機からのデータ受信を始めたと発表した。
エンケラドスの南極付近には地割れが存在し、ここからは水蒸気や塵などが噴き出している。この地質活動を起こしている原因としては、土星の受ける潮汐力により、エンケラドスが揺り動かされているためではないかと考えられている。
今回、カッシーニはこの間欠泉の中を飛び、噴き出している水やガス、塵を直接採取して分析するミッションに挑んだ。エンケラドスのフライバイ観測はこれまでにも行われているが、今回初めて、エンケラドスの地表から49kmという近距離にまで接近して観測が行われた。
最接近時刻は太平洋夏時間2015年10月29日8時22分ごろで、その後探査機との通信も再開され、間欠泉の中を生き延びたことが確認された。今後、データの受信とその分析には数週間かかる見通しだという。
この観測により、エンケラドスの地表のすぐ下にある海洋や、地下にある熱水の活動などの様子や構成について知る、重要な手がかりが得られることが期待されている。特に地下の熱水活動によって、生命が住める環境ができている可能性もあることから、将来のより詳細な探査活動に向けたきっかけになることも期待されている。
カッシーニは1997年に打ち上げられた探査機で、2004年に土星に到着し、以来土星と、その衛星たちの観測を続けている。
■Saturn's Geyser Moon Shines in Close Flyby Views | NASA
http://www.nasa.gov/feature/jpl/saturns-geyser-moon-shines-in-close-flyby-views