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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年11月27日、完成したX線天文衛星「ASTRO-H」を報道関係者に公開した。このあと種子島宇宙センターに送られ、2015年度中に打ち上げられる。

ASTRO-HはJAXAを中心に、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)、国内外の大学などが共同で開発した衛星で、X線という人間の目では見えない光で宇宙を見ることを目的としている。たとえば超新星爆発、ブラックホール、活動銀河核、銀河間の高温のプラズマは激しく活動をしており、数百万度から数億度と非常に温度が高くなっている。X線はこうした温度の高い領域から出ており、これらを観測することで多くの謎が解明されることが期待されている。

衛星の全長は14m、打ち上げ時の質量は2.7トンと、JAXAの科学衛星の中で最も大きく、その中には最先端の技術で開発された高性能なX線望遠鏡が搭載されている。また機体が大きくなったことで、従来のJAXAの科学衛星と比べ、冗長系も十分に確保されている。

日本は1979年に打ち上げられた「はくちょう」から、衛星を使ったX線による宇宙の観測を続けており、ASTRO-Hは2005年に打ち上げられた「すざく」の後継機となる。また、世界で最も進んだX線天文衛星でもあり、世界中の研究者から大きな期待が寄せられている。

打ち上げにはH-IIAロケット30号機が使用される。時期は2015年度中ということ以外はまだ未定となっている。