宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年11月16日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測データによる、月別二酸化炭素の全大気平均濃度を公表した。
JAXAによると、「いぶき」観測データを使って、地上から上空までの「地球大気全体(全大気)」の二酸化炭素平均濃度を算出したところ、月別平均濃度は季節変動をしながら年々上昇し、2015年5月に約398.8 ppmを記録したという。さらに、季節変動を取り除いた2年程度の平均濃度値を求めたところ、2015年7月に約398.2 ppmに達したことがわかったとしている。
このままの上昇傾向が続けば、月別平均濃度や推定経年平均濃度はともに、遅くとも2016年中に400 ppmを超える見込みとされる。
これは、「いぶき」の観測によって地球大気全体の平均濃度が400 ppmに近づくことを初めて示すことになり、また衛星による温室効果ガス観測の重要性を表すものとしている。
「いぶき」は、環境省、NIES及びJAXAが共同で開発した、世界初の温室効果ガス観測専用の衛星。二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測し、その吸収・排出量の推定精度を高めることを主目的にしており、さらに炭素循環の将来予測の高精度化への貢献を目指して、2009年1月23日の打上げ以降、現在も観測を続けている。
Image Credit: JAXA
■JAXA | 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データに基づく月別二酸化炭素の全大気平均濃度の公表について
http://www.jaxa.jp/press/2015/11/20151116_ibuki_j.html