中華人民共和国(中国)は2015年10月16日、亞太衛星公司(APSTAR社)の通信衛星「亞太9号」を搭載した、長征三号乙ロケットの打ち上げに成功した。

ロケットは、中学標準時2015年10月17日0時16分(日本時間2015年10月17日1時16分)、西昌衛星発射センターの2号発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約26分後に衛星を分離した。

また米軍の宇宙監視ネットワークも、この打ち上げによって生じたと思われる人工衛星を検知している。それによると、高度192 x 4万1780km、軌道傾斜角27.18度の軌道に乗っている。

亞太9号は亞太衛星公司(APSTAR社)が運用する通信衛星で、中国空間技術研究院が製造した。32基のCバンド、14基のKuバンド・トランスポンダーを搭載しており、東経142度の静止軌道から、アジア・太平洋、東南アジア地域に通信サービスを提供する。設計寿命は15年が予定されている。

●長征三号乙ロケット

打ち上げに使われた長征三号乙ロケットは、長征二号ロケットをもとに、液体酸素/液体水素を使用する第3段を追加し、静止衛星の打ち上げに対応したロケットである。

初期型の「長征三号」は1984年1月29日に初飛行し、2000年6月25日までに13機が打ち上げられた後、引退した。

1994年には第3段を改良し、打ち上げ能力や軌道投入精度を高めた「長征三号甲」が登場し、1994年2月8日に初飛行し、現役である。

また1996年には、長征三号甲の第1段に4基の液体ロケット・ブースターを装備し、打ち上げ能力をさらに高めた「長征三号乙」が登場した。しかし、1996年2月15日に行われた1号機の打ち上げは失敗し、発射場近くの村に墜落、宇宙開発史上最悪とも呼ばれる大惨事を引き起こした。その後は衛星を失うほどの大きな失敗は起こしておらず、海外の通信衛星や月探査機「嫦娥二号」の打ち上げにも使われている。

その後2007年に、第1段とブースターの全長を飛ばし、打ち上げ能力を高めた増強型が開発された。かつては単に「長征三号乙/増強型」と呼ばれていたが、最近になって、直径4.0mの「4000F」フェアリングを装備した「長征三号乙/G2」、直径4.2mの「4200F」フェアリングを装備した「長征三号乙/G3」、G3の第3段に追加のスラスターと燃料タンクをもつ「長征三号乙/G3Z」、そしてG3に「遠征一号」上段を追加した「長征三号乙/遠征一号」といった種類が存在することがわかっている。

さらに2008年には、長征三号甲と乙の打ち上げ能力の間を埋めるために長征三号丙が開発された。甲は静止トランスファー軌道に約2.5トン、乙は約5.0トン強の打ち上げ能力をもつが、長征三号丙は3.7トンと、まさに中間の性能をもつ。見た目も長征三号乙の4基あるブースターを2基にするという、実にわかりやすい変化をしている。2008年4月25日に初飛行し、現役である。

これら長征三号シリーズは通算で79機が打ち上げられており、そのうちロケットと衛星が失われるほどの完全な失敗は1回、軌道には乗ったものの、予定より低かったなどの失敗は4回起こしている。

 

■我国成功发射亚太九号通信卫星_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n214/c1048925/content.html