カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地で、三菱電機が製造した通信衛星「タークサット4B」を搭載した「プロトンM/ブリーズM」ロケットの打ち上げ準備が順調に進められている。

すでにロケットは発射台に立てられ、打ち上げに向けた最後の作業が続けられている。打ち上げはカザフスタン時間2015年10月17日2時40分(日本時間2015年10月17日5時40分)に予定されている。

打ち上げ後、プロトンMロケットは約10分間飛行し、上段の「ブリーズM」と、それに結合された衛星を分離する。ブリーズMはその後、約9時間にもわたって宇宙を飛行し、衛星を遠地点高度3万5786km、近地点高度9141km、軌道傾斜角13.3度の静止トランスファー軌道に投入する。

バイコヌール宇宙基地は北緯約46度という高緯度にあり、さらに東には中国があることから、ロケット部品の落下を防ぐため、軌道傾斜角が約50度前後の軌道にしか打ち上げられない。しかし、ブリーズMは長時間の宇宙飛行と、何度もエンジンを再着火できる能力をもっているため、最終的に静止軌道に近い、軌道傾斜角13.3度の軌道に衛星を乗せることが可能となっている。

タークサット4Bはトルコの国営衛星通信会社タークサット社が運用する通信衛星で、三菱電機が同社の標準バス「DS2000」を基に製造した。タークサット4Bに先立ち、4Aも製造されており、すでに2014年2月15日に、今回と同じプロトンMロケットで打ち上げに成功している。

4A、4Bともに、28基のKuバンド、2基のKaバンド・トランスポンダーを搭載しており、4Aは東経42度、4Bは東経50度の静止軌道で運用され、トルコ全土や中央アジア、欧州、中近東、アフリカなどに対して、衛星放送やデータ通信、インターネットなどのサーヴィスを提供する。打ち上げ時の質量は4924kgで、設計寿命は15年が予定されている。

三菱電機にとって、海外から商用衛星の製造を受注したのは、2008年の「ST-2」に続き2、3機目となる。またDS2000バスを使った衛星としては9、10機目となった。

また三菱電機は、衛星の製造だけでなく、打ち上げサーヴィスや打ち上げ保険の調達なども行い、打ち上げ後に軌道上で衛星をタークサット社に引き渡すことになっている。これはフルターンキー契約と呼ばれるもので、この契約形式でのプロジェクトは三菱電機にとって初となった。

また、将来トルコが自国で通信衛星を開発・設計・製造・試験を行う際に必要な能力を得るための技術教育プログラムも組まれており、タークサット社の社員が日本に駐在し、実際に衛星の設計・製造・試験の現場に参加したという。

 

■ILS PROTON TO LAUNCH TURKSAT-4B | International Launch Services
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